2021年の東京ヤクルトスワローズを振り返る(栄冠、ふたたび) | まぶたはともだち

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最近はプロ野球もお熱です。

※昨2020年の記事はこちら!

 

 

手元にスポーツ新聞の束があります。

これは10年前、ヤクルトが中日に10ゲーム差をひっくり返される大逆転優勝を献上した際のものです。

 

優勝直前の天王山4連戦4連敗も保管しています

このオフ、青木がメジャー挑戦を確実視されていました。

(実際にポスティング制度でブルワーズに移籍)

唯一の花形選手がチームを去る直前、最後の1年ということで、「優勝するなら今年しかない」というのがファンの共通認識だったでしょう。

これは決してぬぐえぬ、決して覆らぬトラウマなのですが、おそらくこの2011年が最も優勝に近づいた瞬間になるだろうという痛切なあきらめもこめて、きちんと保管していました。

 

実際には2015年に優勝できたわけですが、今年はあの時いなかった青木が加わったうえでの優勝ということで、10年越しで夢がかなったかのような格別の味わいがありました。

いやあ……長かった!

オリンピックもあったりしたので実際長くて、山田、石山、小川のFAトリオが残留を表明したのが3年以上前のことに感じられます。

最終的にはゲーム差0、勝利数では阪神に負けてますぜ奥さん。

チーム状態のピークが9月の半ばにきて、最後完全に失速していただけに、逃げ切れて本当に良かった。

 

解説者・OBの順位予想で、ヤクルト1位を的中させた人は一人も確認できていません。

(いたら教えて)

週刊ベースボールで磯部公一が2位、真中満が3位にしていた程度。

毎年のこととはいえ、ファンですら最下位予想が大半という悲惨な状況。

 

ボクもオープン戦で打ちまくっていた高卒3年目の濱田が開幕前にケガしたときは開票率0%にして最下位確定だと思いました。

内川が3割打ったらAクラスあるかな?くらいの認識でした。

相撲でいえば座布団が飛び交うレベルの大番狂わせを、高津監督が見事に演じてのけました。

 

 

禁断の週ベの呪い2度打ちにも打ち勝ったぜ!
 

 

これで直近10年の成績は、優勝2回に最下位5回、2位・3位・5位が各1回という、嘘みたいに極端なものになりました。

10年連続で2~3位の球団のファンとヤクルトファン、どっちが幸せなのかと聞かれれば、間違いなくヤクルトファンだと思います。

骨身にしみて思うのですが、2位と1位の間には天と地ほどの差があるからです。

 

とはいえ、慣れない優勝争いは観ているだけの自分すら消耗していて、最後の一か月はヤクルトが1敗するだけで、阪神が1勝するだけで気が狂いそうになってたことを思うと、本当に報われて良かったです。ボクはケツの穴が小さいので、仮に最後阪神にまくられても「素直におめでとう」なんてとても言えませんでした

そういう意味でも勝てて良かった。

 

2015年と一味違うのは、とにかく全員でつかみとったペナントではないかということ。

特に野手陣は、レギュラーが遊撃手を除いて完全に固定されており、1番から8番まで切れ目のない打線に仕上がりました。

あと代打の川端な!

村上宗隆選手、初の本塁打王おめでとうございます!!!

2018年までは山田らの集団、2019年以降は村上個人軍と揶揄されておりましたが、その面影はありません。

年齢的にみんな一斉に成長のピークを迎えただけで、来年からまた苦戦しそうな気がしなくもないですが……

 

 

 参考;2015年ヤクルト。2~4番の3人が突出している。

このときは良くも悪くも、山田という唯一無二のスーパースターが牽引するチームでした。

てか、1番が固定できなかったのによく優勝できたな

 

 

ちなみに、自分が1番好きな打線は2008年の埼玉西武ライオンズだったりします。

上位3人が走れるの最高

 

塩見-青木-山田-村上の上位打線は、片岡-栗山-中島-ブラゼルにも負けず劣らず魅力的なものに仕上がったと思います。

言い過ぎかな?

 

 

投手陣もまんべんなく頑張りました。

延長戦が10回までだった昨シーズンに続いて、今年は9回打ち切りとなりましたが、その特別ルールがリリーフの層が薄いヤクルトには追い風に。

清水・今野・マクガフは全員防御率2点台と、絶対的な存在がいないなかで奮闘。

終盤は田口やスアレスをリリーフに回したり、高梨や原樹理を先発に抜擢したりといった、良く言えば柔軟な対応、悪く言えば苦肉の策でなんとかやりくりできました。

 

 

清水昇(25)72試合 防御率2.39 3勝6敗1セーブ50ホールド(プロ野球新記録)

入団当初「地雷ですらない」「むき出しで置かれている爆弾は地雷とは言わない」とか言われていたことを思うと本当に成長したよ。改めでお詫び申し上げます。

 

先発の皆さんも、もうちょっと長いイニングを投げて欲しかったですが、その分ビシッと6回まで抑えてくれることが多かったです。

 

 

石川正規(41)防御率3.04  4勝5敗

いろんな媒体で「ピッチャーで負けた、ピッチャーって負けたって言われるのがしんどかった」って言いまくっているので必見。

2013年あたりから極端な打高投低のチームになってたからね……

 

 

奥川恭伸(20)防御率3.26 9勝4敗

中10日の登板ながら投球回数はチーム2位。優勝翌日の朝日新聞の手記では「肉体的にも精神的にも相当こたえた」とコメントしていた。中10日でもそうか……。

また、与四死球はわずか10。K/BBは9.10と突出。

(最高は山本由伸の5.15。4点台すら数名)

石井一久以来となる高卒生え抜きエースへの成長が期待される。

 

そして何より高津監督のベンチワーク。

奇をてらった采配をしていたわけではありませんが、負け癖のついていたチームをよくまとめましたね。

 

ボクは野村信者なので、ノムさんの「投手出身の監督は視野が狭い」というお言葉をかなり真に受けており、昨年の就任当初からその1点をかなり不安視していました。

※「投手出身の監督は視野が狭い」ソースの一例

 

 

しかし高津は39歳でヤクルトを戦力外になったあと、米マイナー、韓国、台湾、果てには独立リーグを転々とした、酸いも甘いも知り抜いた経歴の持ち主。

チームに復帰してからは1軍コーチ、2軍監督を歴任し、チームの状況を様々な角度から把握しており、ノムさんの指摘には当てはまらない人物だったようです。

9月7日のミーティングで語った「絶対大丈夫」というフレーズはファンの間でも共有される合言葉になりましたが、正直これまでの体たらくを間近で見ていてあそこまでキッパリ言い切れるのは、それだけですごいと思います。いや本当に。

 

 

今シーズンのベストバウト。10月7日の巨人戦。

9回1アウトまでノーヒットに抑えられるも、塩見ヒット→盗塁→山田内野安打の隙にホームインしてサヨナラ勝ち。

(9回ウラの攻撃は1:33~)

 

完全に抑え込まれている間もベンチは明るく、極めて士気が高そうだった。

塩見がヒット1本打っただけでこの盛り上がりよう

 

 

さて、土曜からはクライマックスシリーズです。

失うもののない巨人と阪神が--おそらく阪神が、本気でぶつかってきます。

 

 

っていうか阪神は来年から黄金時代になると思うんですよね。

50試合以上投げてるのスアレスと岩崎だけだし、野手陣も若手多いし。このポストシーズンでその片鱗を見せてくるのではないかとビクビクしています。

もし日本シリーズに出場が決まったら、今年は現地観戦するつもりですが、はたしてどうなることやら……

 

ひいき球団の順位を抜きにしても、今年はセもパも大混戦で、どこの球団も新人が躍動したり、ベテランが復活したり、大物が引退したりと見どころの多いシーズンでした。

来年には満員の神宮球場に通えると信じて、ひとまず目の前のクライマックスシリーズを楽しもうと思います。

 

本当は雄平と松坂と斎藤佑樹だけでこの倍は書けるのですが、とりあえずこの辺で……

 

 

 

 

※ポストシーズンはこちらから!