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売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。映画comより
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実話を基に描かれた作品。子どもの頃から虐待を受けながら売春、覚せい剤と流れるように社会からこぼれ落ちていく刹那な若者へ手を差し伸べた刑事。初めて大人を信じることができて自分の人生を生きてもいいんだ、という覚悟を決めさせてもらえた杏。
期待通りに重い話でしたが、これを映画化することには立派な意義があると思います。内容はぜひ劇場で観て欲しいのですけど、やはり河合優実さんの演技も素晴らしかった。こういう大人に迎合をしない演技ができる若い人が男女問わずドンドン出てきていますよね。杉咲花ちゃんも「市子｣などから秀逸な才能を発揮されていますが、あとからあとから、こういう若手が追い上げてきていると思ったら、見ごたえのある接戦になるなぁ感心してしまいました。
主人公の杏が家から出るシーンは泣けましたね。これだけの虐待を受けながら親を捨てられない事を「洗脳」とか「支配」から抜けられない、という人がいるのですが、ちょっと私は違うと思いました。これも愛なんですよ。どんな親でも愛している子どもがいるんですよ。これだけのことをされても？それを洗脳というんだよ、といわれると...実体験をしている私はちょっと辛い。他人には入れないほどの親への強い愛情をもつ子どもはいるんです。たとえ自分は死んでも親を憎みきれないんです。
自分を一番にして親を捨てればいい！と言う人がいますが、そういう人は救済者としては失格です。心に傷を受けた人は、きっと二度と心を開いてくれなくなるリスクがあることを知っておいて欲しいと思います。今回はリアルにそこを汲んでくれている背景が、本当にあたたかくて寄り添っている形がよかったです。
こういう事実を他人事だと思わずに受け入れようとする大人がどこまでいるんでしょう。どうか差別なく救われて欲しい。
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