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”あたしは、教室なんて戻らないよ。高校にだって行かない。就職だってしないもん。ずっと部屋に閉じこもってる。それでいいんだ。それでいいんだもん」そう、だから進路希望なんて考えない。このまま保健室にこもって、家に閉じこもって、肩を小さくして、息をひそめながら生きていく。死んだってかまわない。かまわないから。”
”女の子たちのくすくすという笑い声は、嵐を告げるざわめきに似ている。朝の教室に入ってすぐ、粘つくような視線を感じた。得体の知れない違和感の正体は、自分の机に歩み寄るまでに判明した。”
”これを読んだ両親は、どんな顔をするだろう。わたしが死んで、悲しいだろうか。誰に責任を求めるのだろう。葬式の様子を想像してみた。どれくらいの人間が、わたしの死を悲しんでくれるだろうか。教室の人間は、何人くらい来てくれるだろう。もしかしたら、一人も来てくれないかもしれない。そうでなければ、先生に促されて、といったところだろう。”
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いじめで不登校になっていく生徒、なってしまった生徒。いじめの経緯、状況、我慢の限界、心が壊れるまで、親にも言えない心境など…事細かくやるせない描写が続くので、現実に悩まれている人には、この本が救いになるか、さらに辛くなるか。読み応えのある本ですが、おススメしたあとの責任はもてない。
いじめって私もされたことあるけれど…あんまり気にしなかったというか…一人が好きだったのでクラスメイトに無視をされたりすることが苦にならなかったんですよねぇ。逆にあれ、放っておいてくれるんだ…とホッとした覚えが(笑)みんなと仲良くとか、一緒にとか、とにかく今でもすごく苦手。
そういえば、暴力めいたこともあったけど、授業中に掴みかかって思いっきり蹴飛ばしたら、二度と向こうからしなくなったことがあったなー今の時代だったらアウトかもしれないけど、どんな手をつかっても相手にやり返す方法を駆使して作戦を練っただろうな。べつにそれで嫌われてもなんとも思わない。一人が苦じゃないから、あんまり人が離れることに恐怖心がないというのが強みなのかもしれません。
だからこれを読みながら思うことは、いじめられている現状を辛く受け止めてしまう人は本当に辛いんだろうなぁ…どうしたら回避へや解決への一歩に繋がるのかなと思ったり、そっちばかりを考えていました。だって解決はいくらでもあるんです。でもそのためには戦わなくちゃいけない、大なり小なり。それを避けるとなると…解決は一切しない。う~ん。本人が心を閉ざすと周りの大人も入り込み方が曖昧になるから助けてあげたくてもできない…むつかしい。
相手が悪いって理屈ではわかっていても、心のどこかで(いじめられた相手からも)嫌われたくない、傷つけたくない、怒れない(怒ってる自分を見たくない)、敵意を向けられない、、とか。そこで悩むんでしょうね。いじめられているという事実自体に蓋をしたり、回避=閉じこもりで、今に目を背けちゃうんだろうな。でも心の傷は膨らむばかり。大人になっても戦わなかった自分、戦えなかった自分、相手の残虐な手口に対するフラッシュバックがことごとく巡って、人間不信にもなり、負の連鎖になっちゃう。もちろん命にかかわることは逃げていい。状況にもよります。
元自衛官の五ノ井さんも逃げることもできたけど、泣き寝入りせずに戦い抜いたのは、べつに彼女が強かったわけではないんだと思うのです。自殺も考えたと言うことも仰ってましたし。でも色んな気持ちがせめぎ合いながら最終的には「自分の正義」が自分に負けることを赦さなかったんだと思うのです。きっと後悔するよ!って。今後の人生のために戦った。これって勝ち負けもだいじだけど、未来の自分への約束みたいなことじゃないかな。
自分を傷つけた人を「きちんと憎む、怒る」ということも人生においては大事だと思います。ちゃんと怒った方が、意外にそのあと引きずらずにいられます。憎しみって、、、相手に対してもあるけれど、その時に自分の感情に向き合わなかった後悔でもあるんですよ。すべての憎しみを一生ひきずるものにせずに、一過性のものにするためにも「周りに助けてもらいながら自分の心に向き合う」ことができればいいな。
作中には、寄り添ってくれる保健室の先生がいます。ちゃんと生徒の痛みに寄り添ってくれているのが見所。こういう先生がたくさん増えて欲しいですね。教師にも読んで欲しいです。
檜原有輝 ひばらゆうき スケジュール
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