2023年 邦画
監督・脚本:入江悠
出演:河合優実・佐藤二郎・稲垣吾郎・河井青菜・広岡由里子
この作品は元刑事の蜂谷嘉治さんとハナ(仮名)さんとの実話に基いた物語で、母は売春、祖母は万引きの常習者という機能不全家庭で育ち、25歳で自死を選んだ女性役を河合優実さんが演じてますが、最終的には自死を選ぶ線の細さや、序盤で本当はこんな生活から抜け出したい深い哀しみを抱えた泣きのシーンには震えました。
末恐ろしい若手俳優さんです。
物語にはフィクションも含まれてますし、細かい数字は変更を加えてますし、佐藤二郎さんの役は実際に逮捕された元刑事と蜂谷さんがミックスされてますが、それぞれにあんちゃんの幸せを願ってました。
では、作品の紹介です。
あん(河合優実)は小学校4年生から学校には行ってません。
母(河井青菜)からの日常的な虐待で母に抵抗することもなく、母からは娘なのに「ママ」と呼ばれ生活を支えることを強要され続ける少女でした。
12歳で売春を強要され、16歳で薬物に手を染め20歳前後で逮捕されますが、その時に担当した多々羅(佐藤二郎)との出会いで、多々羅の関わる薬物厚生施設に通い、施設内でデドックスのヨガも週2回、多々羅が行ってるので参加するようになりました。
あんが住んでるのは古い団地で室内はゴミ屋敷で、とても人が暮らせる環境ではありません。
そこに足の悪い祖母と母とあんの3人暮らしです。
※女3人でどうしてこんな暮らしになるのか・・・※
そして、薬物で捕まったあんが帰ると、母は薬物に金を使うなら家に入れろ!と暴行します。
長年虐待されてるあんにとって、母親に逆に暴行し返す思考はないのです。
更正施設で参加者の話や多々羅の話を見学してると雑誌記者の桐野(稲垣吾郎)から声を掛けられます。
多々羅とは3年の付き合いだそう。
そして、真面目に介護施設で働き出した最初の給料で多々羅に勧められた日記を付けることを決め、日記帳を万引きしようとするが思い止まり、多々羅へのプレゼントにヨガマットを買います。
祖母にはケーキを買いました。
あんにとって初めてのちゃんとした労働賃金です。
が、夜中になるとホステスの母が酔っぱらって客の男を連れ込みます。
またも暴行されるあん。
あんは雨の中家を飛び出し、ガード下で薬物に逃げ多々羅に助けを求めます。
多々羅は車で来てくれて、泣き叫ぶあんを幼児のようになだめ抱きしめるのです。
ここからふたりの関係は密になり、あんが初給料を貰った介護施設にも文句を言ってくれます。
「20日働いて5万はおかしいだろ!!!」
更正施設にもちゃんと通い、桐野の縁で別の介護施設を紹介して貰えました。
あんはリストカットではなくアームカットなので左腕は傷だらけです。
「これからは切るなら足にしな。利用者さんビックリしちゃうから」
そして奇妙な3人の付き合いが始まります。
多々羅と桐野の勧めで、あんは家を出ることを決意します。
荷物をまとめようとしますが母親が妨害します。
暴行されますが逃げました。
待ち合わせの公園に、衣類を詰めたバッグを抱えて走ってきたあんを多々羅は抱きしめます。
3人が向かった先はDV被害者が無料で入居できるシェルターのマンションです。
やっとあんは暴力から解放されるのです。
厚生施設に通いながら介護の仕事も真面目にしてたあんですが、施設が給料明細を母の住所に送付したことで母親が施設に乗り込んできて、あんの給料を渡せと大騒ぎして、そこでもあんは殴られます。
あんは退職しようとしますが、施設長は「あなたと母親は別の人間だ」
と引き止めました。
あんは小学校すらまともに行ってないので難しい漢字は読めません。
割り算など桐野が教えてくれました。
住む所、働き先は確保できました。
今度は自分の意志で夜間中学校に通うことを決めました。
高齢者や外国人が通ってます。
給食もあり、糖尿のおじいちゃんがおかずを分けてくれたり、人との優しい関わりを知ります。
そんな中、桐野が不審な動きをします。
更正施設に熱心に通ってた雅が来なくなり、その雅と密会などしてるのです。
施設ではあんがプレゼントしたブルーのヨガマットを使う多々羅の側に、色違いのピンクのヨガマットを使うあん。
仲睦まじいふたりです。
それを見つめる桐野。
そんな中、日本中にコロナショックが起きました。
あんは仕事を失い、夜間中学も休みになりました・・・
そしてあんにとって1番辛かったのは、父のように慕ってた多々羅の逮捕です。
多々羅は更正施設に通う雅を含む複数の女性に猥褻な行為を強要してたのです。
桐野はその事実を探るために多々羅に近付いていたのです。
※あんにはしてないようです※
仕事も学校も多々羅も失ったあんですが、日記と学校の課題はちゃんとやってますが、孤独に負けてアームカットしたくなったり薬物に逃げたくなりますが必死で腕や足を掻いて誤魔化します。
そんな中、同じシェルターのよく知らない女性から突然1歳代くらいの赤ちゃんを押し付けられます。
たった1万円で1週間。
おむつもなく、あんに赤ん坊のことなど分かりません。
赤ん坊をドラッグストアに連れて行って、この子のおむつ下さい!
店内でおむつ交換して、外にあった誰かのベビーカーを盗みました。
※あんまり見ないシチュエーションですが※
慣れない料理もスマホを見ながら頑張って懸命に育児をしてましたが、
母親に見つかってしまい赤ん坊ごと団地に戻されます・・・
すぐに売春を強要され、朝戻ると赤ん坊はいません・・・
母親が児相に連れてって貰ったのです・・・
あんは母親に台所の包丁を手に取り向けましたが、やはり母親に歯向かうことは出来ませんでした・・・
ふらふらとシェルターに戻り再び薬物に逃げますが、それでも学校の課題もしようとします。
薬物にまた手を出した自分とちゃんと生きたい自分の狭間で激しい発作が起きるあん・・・
日記をフライパンで燃やし、ベランダから飛び降ります・・・
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あんちゃんは優しい子でした。
実際には曾祖母・祖母・母・ハナの4人暮らしで、曾祖母は優しく、ハナが虐待されると身を挺して守ってくれたそうです。
曾祖母が亡くなるまでの短い間だけでも身内から優しくされた経験があったのは救いです・・・
そもそもの資質は優しい子で、育った環境がまともなら普通にいい子だったと思います。
母親に虐待され続けても自分はやり返せなかったし。
北九州監禁事件のように、肉体的虐待と精神的虐待で母親に反抗する思考が無かったんだと思いますけど・・・
それほどの恐怖で母親はあんちゃんを支配してたかと。
あんちゃん、25年間という短い人生でしたがよく頑張りましたね。
一生懸命生きました。
生まれ変わりがあるなら、今度は優しい家族から生まれてね・・・
そして今回、脱ぐだげが体当たりじゃないなと知りました。
この作品、売春が絡むし、佐藤二郎さんは真剣に更正に取り組んでるけど肉欲には勝てない性で逮捕までされますが、誰も脱いでないのがいいなと。
恐らく、この内容だと脱ぐことが前提になりそうですもん。
入江監督凄いです。
河合優実さんを起用したのも入江さんらしいですが、凄い俳優さんですね!
河合優実=あんでした。
尊敬する俳優さんが森山未來さんとwikiで読んで、雰囲気も演技力の高さも似てると思いました!
お目目パッチリな俳優さんは多いので、ずっとこの顔でいて欲しい^^
女性の俳優さんは目がどんどん大きくなる傾向があるので、このままでいて欲しい。
河合優実さんいいですね^^今後も注目です。