映画『ケイコ 目を澄ませて』のDVDを観ました。
『夜明けのすべて』を観たときに、この映画の作り方はなんとなく好きだな、と感じたので、同じ監督のこちらの作品も観てみました。
やはり、いいですね。
うまく言えないけど、とても「映画らしい映画」のように思うんです。← あくまで、「自分にとっての映画というもの」の解釈になりますけど。
言葉による説明が少なくて、人物の表情や周りの情景から、この人はいま何を思っているのだろう、とか、このワンシーンはどういう意味を持っているんだろう、とかいろいろと想像することになる。
その体験が、映画らしいなと感じるんです。
結論とか意味づけがはっきりとしてなくて、観た人がそれぞれ自分で持っていればいいんだというような。
この作品では、ケイコというボクサーが、ボクシングを続けようか、どうしようか、迷っているように描かれていました。
いま通っているジムが閉鎖することになって、いちおう次に通う新しいジムも紹介はしてもらったんだけど。
結局そこに行くことにしたのか、行かないことになったのか、はっきりとは描かれていない。
淡々と映画は終わる。「Life goes on…」て感じで。
そこに深いリアリティがある気がする。
結論なんて出ないまま、毎日、生きているよな、私たち… と。
思い返せば、『夜明けのすべて』のエンディングも、なんでもない日常の映像がみょうにいとおしく見えて、これずっと観ていたいなーと思っていたっけ。
どちらも、じんわりとおだやかな気持ちになれる映画でした。