ロリーは昨年の1月20日に保護団体に引き渡されました。
その保護団体のセンター長さんの1月21日付twitter(当時)でたまたまその情報を見かけました。
急いでアカウントを作成し反響を確認しました。当時は千件ほどのコメントがあり全て目を通しました。返信は殆ど手放した飼い主さんへの非難でした。私もロリーを気にしてくださった多くの方々と同じような感想を持ちました。その中で2件ほど、会いに行ってみたいとか飼ってもいいかな、という里親につながりそうなコメントもありました。誰かがきっと迎えに行ってくれる、その時は思っていました。
その後は保護団体のHPや関連Instagram等をチェックしていましたが2週間ほどで保護犬カフェにいることが判りました。まだ誰も迎えに行ってない。
もうすぐ12歳のシェルティ。元飼い主さんさえ連れて行かなかった。それが里親になろうとしている人達の気持ちを削いでいたのかもしれない。保護犬カフェのロリーはぼんやりして元気のない表情をしていました。私は焦りました。
カフェデビューから一週間過ぎて会いに行くことができました。保護犬カフェで小型犬に交じってぽっちゃりしたシェルティが走り回っていました。遊んでいるのではなくて保護活動のボランティアさんが来るとおやつを貰えるようでそのボランティアさんが移動するたびに一緒に走り回っていました。おやつを貰うと所在なさそうに座り込んでいました。誰も使っていないトイレをソファに見立てて。そしてまたうろうろ。
動き回るロリーの背中をそっと触ると振り返りはしないけど尻尾をゆらゆらさせて立ち止まり、触るのを止めるとすっとまた何処かに移動してしまう。怖がったり怒ったりする様子はなく気が付くと夫が抱っこしていました。
初めて会った日はそのまま帰宅。翌週に里親面接を予約して再度保護犬カフェに。
2匹目を迎えることに難色を示していた夫が車を出してくれました。
保護犬カフェは住宅地の一等地。付近には2~3台のパーキングがそこそこあるもののすべて満車。料金設定の高いカフェから離れた駐車場にやっと空きをみつけて駐車。約束の時間は若干過ぎてのカフェ入室で辛抱強く待った後面接。保護団体の責任者と継続した収入が有るか自宅は犬を飼える環境かなど話したところで、徐に「直ぐに介護になるかもしれませんよ」と。
先住犬がいてその子はまだ若いので2匹の介護は恐らく重ならないこと、むしろそれなら早くうちに迎えたい旨お伝えしました。
ロリーの里親になりたい理由を聞かれたときには「可哀想で」と答えました。飼い主さんに置いていかれたことが可哀想で、と。
でも本心は少し違いました。ロリーの保護ステイタスが変わらないのは誰からも声が掛からないから。暫くすればこの子はシェルター行きかもしれない。たくさんの犬達とともに体調を崩してしまえば重ねたケージで冷たくなってしまうかもしれない。それは絶対に嫌でした。でもそれは口にせず。どんな感情なのか説明できなかったからです。
保護団体の責任者は老犬のデメリットを説明して良いことばかりではないことを念を押しました。二度と保護されない様にするためでしょう。私は可能な限り世話をする時間的な余裕があること先住犬がロリーと同じシェルティであること、シェルティは実家でも飼っていたことなどを説明しました。すると「シェルティ好きなのね」続けて「じゃあ、任せようかな」と言ってくれました。お忙しいのに多くの人たちと面接して時には延々と熱く保護犬談義をしていた責任者の方。私達には割とあっさり「ロリーをよろしく」と言ってくれました。
私には保護犬活動をされている方々のような崇高な愛護意識も無くただ「ロリーの面倒を見たい」という感情からくる私の行動を信じてくれたのだと思います。
ロリーには金色のキルティング生地で出来たハーネスがついていましたがそこにリードをつけて渡してくれました。トライアルの書類を作成する際にロリーの体調を女性のスタッフさんが説明してくれました。どうやら保護されてから下痢が続いているとのこと。確かにおしりの毛は汚れていてひどく臭っていました。元の飼い主さんから離されてロリーにはそれがショックだったのでしょう。
帰宅の途につきましたがロリーはいやがる様子もなく黙って着いてきてくれました。小型犬用のリードには少し大きめなロリーが背中を丸めて上を向かないようにしていると私には見えました。不安だけど今はリードを持った人と一緒に歩くしかない、小さな背中はそう言っているようでした。
そのままロリーは我が家に居ます。
出掛けるときは「直ぐに帰るよ」、お散歩の後は「お帰りロリー」と声をかけています。
もうどこへも行かなくていい。
安心していい。
去年の1月20日はもう来ない。