美智子さまが紹介されたお話「でんでんむしのかなしみ」 | 幸せな家庭の作り方〜Happy Family〜

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東京下町で暮らす5人の子沢山ママです。結婚27年目。
長男25歳(社会人・一人暮らし)長女15歳・次男14歳・三男9歳・四男6歳。
非常勤保育士として働きながら、オリジナル家計簿を販売中。

こんにちは、お久しぶりです

こちらは猛暑が続いていますが、みなさまいかがお過ごしですか?

今日は雲が出て、あの強い日差しが直接照り付けないだけでも比較的過ごしやすいお天気です。



学校の夏休みが始まり、相変わらずバタバタした生活です。

そんな中でも、子どもたちに読み聞かせている絵本や児童文学に癒されています。

今高校2年生の娘が小さい時に発売されて読み聞かせてきた『おはなし366』は、毎日使ってボロボロになりました。

それから買い替えて、三男・四男に読み聞かせているのは2代目です。



この本も大好きなので、いずれ詳しく紹介したいのですが…

今日は他にわが家で読み聞かせている『いのちを感じる心が育つおはなし』に載っていたお話を紹介したいです。



上皇后美智子さまがIBBY(国際児童図書評議会)の世界大会でのビデオ講演で

「何度となく、思いがけない時に私の記憶によみがえってきた」

作品として触れられたとのことです。

『ごんぎつね』や『てぶくろをかいに』で有名な新美南吉さんのお話です。

そのまま引用させていただきます。




『でんでんむしのかなしみ』  

             新美南吉

一ぴきの でんでんむしが ありました。

 ある ひ、その でんでんむしは、たいへんな ことに きが つきました。

「わたしは いままで、うっかりして いたけれど、わたしの せなかの からの なかには、かなしみが いっぱい つまって いるではないか。」

 この かなしみは、どう したら よいでしょう。

 でんでんむしは、おともだちの でんでんむしの ところに やっていきました。

「わたしは もう、いきて いられません。」

と、その でんでんむしは、おともだちに いいました。

「なんですか。」

と、おともだちの でんでんむしは ききました。

「わたしは、なんと いう、ふしあわせな ものでしょう。わたしの せなかの からの なかには、かなしみが、いっぱい つまって いるのです。」

と、はじめの でんでんむしが、はなしました。

 すると、おともだちの でんでんむしは いいました。

「あなたばかりでは ありません。わたしの せなかにも、かなしみは いっぱいです。」

 それじゃ しかたないと おもって、はじめの でんでんむしは、べつの おともだちの ところへ いきました。

 すると、その おともだちも いいました。

「あなたばかりじゃ ありません。わたしの せなかにも、かなしみはいっぱいです。」
 
そこで、はじめの でんでんむしは、また べつの、おともだちの ところへ いきました。

 こうして、おともだちを じゅんじゅんに たずねて いきましたが、どの ともだちも、おなじ ことを いうので ありました。

 とうとう、はじめの でんでんむしは、きが つきました。

「かなしみは、だれでも もって いるのだ。わたしばかりではないのだ。わたしは、わたしの かなしみを、こらえて いかなきゃ ならない。」

 そして、この でんでんむしは、もう、なげくのを やめたので あります。




サラッと短く読めるお話なので、私も子どもへの読み聞かせで最初に読んだときには「深いい話だなー」みたいな、浅い感想しか持たなかったように思います。


でも、今読んでいると「ウンウン、ホントにそう、そうなのよね…」と、じんわりじんわり、心に響いてきます。


できれば悲しいことにはあいたくないけれど、人生で全く悲しまないというのも無理なことでしょう。


そんなときに「みんな自分の背中の殻の中に、悲しみを背負っている。」


そう思うと、自分の身に起こる悲しみも、受け止められる気がします。


そして受け止めるからこそ、その悲しみをそっと背中に背負って、また自分の人生を歩んでいける気がするのです。


美智子さまが紹介されてから注目されて、このお話だけの絵本が何種類か出版されています。


 でんでんむしのかなしみ


そして、このお話は、お釈迦さまと子どもを亡くした女性・キサーゴータミーのエピソードにも似ている気がします。


「子どもを生き返らせてください」と頼んだキサーゴータミー。


お釈迦さまは「人が死んだことのない家からケシの実をもらってきなさい」と言ったそうです。


(死んだことのない家はない、ということですね)


私は手塚治虫のコミック『ブッダ』で読みました。


(何巻に出てくるエピソードだったか不明…?)


ブッダ全12巻漫画文庫 (潮ビジュアル文庫)