若年者の雇用安定に関する共同声明
1月26日、日本経団連と連合が「若年者の雇用安定に関する共同声明」を発表しました。以下、転載します。
※下線は筆者加筆。
日本経団連と連合は、2009年1月と3月に雇用の安定・創出に向けた考え方を取りまとめ、その後もそれぞれの立場で取り組みを進めている。今後も両団体は雇用の安定・創出に向け、引き続き共同で取り組んでいくことを改めて確認した。
しかしながら、今春卒業予定の学生や生徒の内定率は大幅に低下するなど、就職先が決まらず不安を抱えている者は多い。また、来年の卒業予定者についても、厳しい状況が続く懸念がある。
両団体は、雇用の安定がわが国経済社会の安定と発展の基盤であるとの認識の下、とりわけ若年者の就業機会の拡大と円滑な就労促進に向けた対策を速やかに講ずる必要があるとの共通の理解に立ち、下記の内容について個別企業労使へ働きかけを行うとともに、政府に対し速やかな対策を求めるものである。
1.企業の取り組み
(1) 通年採用も含め、極力多くの新卒者の採用に努める
(2) 採用決定プロセスの透明性を高めつつ、人物本位の採用を徹底する
(3) 採用内定の取り消しは、客観的に合理的で社会通念上相当な理由が必要であることに留意し、回避のための取り組みを徹底する
(4) ジョブカード制度等への協力を図る
(5) 必要に応じて、公的職業訓練における技術者等の講師派遣に積極的に協力する
2.労働組合の取り組み
(1) 産業別労使や個別労使において、新卒者の採用の拡大について真摯に協議を行う
(2) 地域雇用戦略会議における政労使による就労支援ネットワークの構築に積極的に関与する
(3) 学校教育において、働くことの意義を含めたキャリア教育(労働教育)や職場体験を促進する
(4) 必要に応じて、公的職業訓練における技術者等の講師派遣に積極的に協力する
3.政府に求める対応
(1) 早期の景気回復と雇用創出に向けて、2010年度当初予算を早期に成立させ速やかに執行する
(2) 2009年度第2次補正予算により創設される重点分野雇用創造事業(介護、医療、農林、環境・エネルギー、観光など)における雇用機会の創出や人材育成を推進する
(3) 緊急人材育成支援事業における「未就職卒業者向け訓練コース」(訓練期間中の生活支援給付あり)の内容充実など、長期的な就職支援体制を整備する
(4) 2011年春卒業予定者を含め学校における個別相談体制を強化するため、高校、大学等での就職支援体制の充実を支援する
(5) 就職支援員やキャリア・コンサルタントのきめ細かな増員配置を支援する
(6) 雇用・能力開発機構が行う学卒者訓練(普通・専門・応用課程)のプログラムを充実させるとともに、定員枠の拡大や受講料の減免を行う
(7) 大学、短期大学、専修・専門学校などに入学する新規学卒者への入学金・学費の低利融資制度や奨学金制度を拡充する
(8) すべての学校教育段階において、働くことの意義を含めたキャリア教育を拡充する
以上
労働組合の箇所にキャリア教育についての記載があるのが違和感を感じますが、若者の雇用の安定についての声明は意義があると感じました。声明の中に2箇所「キャリア教育」について触れられています。労使の代表は「キャリア教育」の重要性を共通の理解としたのでしょう。
これまでビジネスマンはキャリアについてとりたてて考えなくても、会社が何とかしてくれました。それがバブル崩壊以降、まず高給取りの中高年がリストラに遭う中で、「今後のキャリアは自分で考えてください」と企業から冷たくされ、自分たちのキャリアについて個別に考えざるをえなくなったのです。
大学においてもキャリアに関する教育がなされ始めたのは、こんな流れの中のことだのでしょう。声明の中で「すべての学校教育段階において、働くことの意義を含めたキャリア教育を拡充する」とあります。これは、学校教育でキャリア教育がじゅうぶんされていないことへの不満が声明として現れたのでしょう。
田中萬年氏は、「学校教育と社会が完全に断絶していることに問題がある」と指摘しています。確かに教育と労働が完全に分離されている今の縦割り行政では限界があるのかも知れません。氏は続けて「教育労働省」のような再編が必要と説きます。
生徒、学生がスムーズに社会に出ていける仕組みづくりを、こんな世の中だからこそ「ゼロベース」で考えることも意義があると思います。政権が変わったのだから、民主党にはぜひ世の中の仕組みを変えてもらいたいと期待します。
STRATEGIC総務に掲載されました。
採用>「一芸入社」 富士通
今朝の日経新聞からです。
毎年4月に一斉に新卒者を受け入れる日本独特のシステム(新卒一括採用)は、長期的には変革せざるを得ないと思っています。買い手市場であれ、売り手市場であれ、企業が欲しい人材は常に激戦であり、学生に選ばれる仕掛けが必要です。今回の富士通の事例は、大学入試の一芸入学を想起させます。発想は同じなのかもしれません。いまの学生は安定志向といわれるなか、個性的な人材の発掘が目的のようです。他社に波及していくかもしれません。
富士通、「一芸入社」を新設、11年春の採用、十数人採用へ
富士通は2011年4月入社の新卒社員の採用で、「一芸入社」制度を新設する。過去に特定の領域で高い実績をあげた学生の自己推薦を受け付け、通常とは別枠で十数人を採用する。「一芸」の領域は問わない。これまでの手法では採用しにくかった挑戦心や個性豊かな人材を発掘する狙いだ。
「チャレンジ&イノベーション採用」と呼ぶ制度を設け、2月から募集を始める。希望の学生には、従来の理系対象の「学校推薦採用」と文系中心の「自由応募採用」とは別の書式で応募してもらう。大卒以上の学歴が見込まれる新卒者を対象とする。
実績をあげた領域は問わないが、「起業経験」「部活動で日本一」「数学オリンピックで入賞」「弁護士資格」などを想定している。2回の面接で実績の内容やその過程で培った挑戦心を評価し、採否を決める。100人以上の応募を予想している。
富士通の新卒社員は「優秀でまじめだが、後発の通信機メーカーだった時代に比べ、とんがった面白い人材が減った」(人材採用センターの豊田建センター長)という。「一芸入社」制度で個性派を採用し、社内の活性化につなげる。
富士通の10年4月入社の新卒社員は440人の予定で、11年4月も同程度となる見通し。新制度で採用する十数人はその内数となる。(1月25日、日経新聞朝刊)