17日~18日、ソウル・韓国にて、アジアで初めて、
持続可能性をキーワードにした経済と金融を考える国連会議が開かれています。
『Changing Landscapes: Towards a sustainable economy in Asia』
http://www.changinglandscapes.org/
主催しているのは、UNEP(国連環境計画)の金融イニシアティブ、国連グローバル・コンパクト、
そして、UNPRI(国連責任投資原則)。
4月から、法政大学に国連グローバル・コンパクト研究センターが正式発足し、
私もメンバーになっていますが、企業がどのように社会的責任を果たしていくのかは、
東アジアにおいて、ますます、大きな課題になっていくでしょう。
温暖化の問題だけでなく、労働者の人権や環境、水や生物多様性などにきちんと配慮する企業経営
や、責任ある投資と金融のしくみ、ガパナンスが、東アジアにおいて、どうしたら可能なのか。
今回の合同会議は、初開催ということもあってか、国連と政府および企業、研究者のパネリスト
中心で、残念ながら、労働界やNGOの声が、直接、反映されていない印象です。
しかし、東アジアで、企業のCSRを推奨するだけでなく、新しい金融や責任投資のしくみをつくる
方向への動きとして注目したいと思います。
さて、国連グローバル・コンパクト(GC)は、持続可能な世界経済システムの再構築をめざして、
参加するそれぞれの企業に対して、責任ある企業市民の役割を求めるもの。
具体的に、世界中のビジネス活動に「GC10原則」を取り入れることが約束です。
■国連グローバル・コンパクトhttp://www.unic.or.jp/globalcomp/outline.htm
世界の118カ国から4771の団体や企業が参加しており、東アジアでは、
中国から131団体、韓国は103団体、日本は58団体にとどまっています(2007年末時点)。
イギリスでは経済政策に「GC10原則」を取り入れたり、北欧ではGCを国家戦略として掲げる
なか、日本の危機意識の遅れは比較にならないほど・・・。中国や韓国にも立ち遅れる悲しい実態が。
グローバル・コンパクト(GC)は、法的な拘束力を持たず、それぞれの自主的かつ自発的な規律を
前提にしているために、企業のイメージアップや建前だけに利用されて実効性について疑問視する声
が少なくないのも事実です。
しかし、時代は確実に、「利益追求+公益貢献」する企業モデルに向かって進んでいる。
「GC10原則」が規範化されたり、GCへの参加の有無が投資基準のひとつになる日も、
そう遠くないのではないでしょうか。ヨーロッパでは、先行入札のときにGC参加企業を優先する制度
を導入する国もでてきています。
日本はもちろん、東アジアでこそ、
グローバル・コンパクト(GC)の存在意義が増していくのではないかと私は考えます。
これからますます、好む好まざるに関わらず、経済を中心とした地域共同体へ向かっていくとき、
GCの原則が、環境や水はもちろん、消費者の安全や、労働者の人権などに配慮するための、
域内企業に共通するモラル・スタンダードとして有効だと思うからです。
日本でいち早く、そうした先進的な企業の動きと、政府による優遇措置や国内法の整備などが
連動して進むことが求められます。
【グローバル・コンパクト(GC)10原則】
=人権=
1 企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持し、尊重する
2 人権侵害に加担しない
=労働基準=
3 組合結成の自由と団体交渉の権利を実効性あるものにする
4 あらゆる形態の強制労働を排除する
5 児童労働を実効的に廃止るする
6 雇用と職業における差別を撤廃する
=環境=
7 環境問題への予防的なアプローチをする
8 環境に関して、率先して、大きな責任を担う
9 環境にやさしい技術の開発と普及を促進する
=腐敗防止=
10 強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止に取り組む