Wikipedia の記事+コメント つづき3
ウィキペディア記事へのコメントの続きです。
「教師から将来何になりたいかを聞かれた時、弁護士か医者と答えたが、
教師からは「黒人はどんなに頑張っても偉くなれない。黒人らしい夢を見た方がいい」
と諭され、手先の器用さを生かして大工になることを勧められた」
と書かれています。
マルコムX自伝によると、「弁護士」という職業に特にこだわりがあったわけではないということです
(アメリカでは最も優秀な人々の目指す職業が「弁護士」と言って差し支えないでしょう)。
また、その教師も悪気があって言ったのではなく、マルコムのことが好きで、
彼のためを思って言った、とマルコム自身は言っています。
それでも、他の白人の生徒に対しては、
彼らの成績がマルコムより悪くても、
弁護士や医師になることをその教師が励ましていたので、
幼いマルコムには衝撃的だったのです。
刑務所を出所後、マルコムXは可能なら「言語学者」になりたいと言っています。
(イスラム教に改宗したので)アラビア語やアフリカの諸言語について学びたかった、ということです。
そしてまた、
黒人は黒人に関する事柄しかできないと思われたくないから普遍性のある学問をやりたかった、ということです。
実際には、取り組まなければならない人種差別の問題があったので、
「言語学者」になることはできませんでした。
マルコムX公式サイト
「マルコムX公式サイト」というのが実は存在します。
http://www.cmgww.com/historic/malcolm/
quotes という項目に
マルコムX暗殺の後、キング牧師がマルコムXの未亡人に宛てた電報が載せられているので引用します。
"…I always had a deep affection for Malcolm and felt that he had a great ability to put his finger on the existence and the root of the problem. He was an eloquent spokesman for his point of view and no one can honestly doubt that Malcolm had a great concern for the problems we face as a race."
Wikipedia の記事+コメント つづき2
ウィキペディアの記事に、
「同年、マルコムはメッカ に巡礼。そこで彼は現地のイスラム教徒から熱い歓迎を受ける。白人でありながら自分たち黒人を肌で判断しない彼らに感銘を受け、それまでの考えを捨てた
(但し人種 概念をもとに大別したとき、アラブ人はヨーロッパ人と同じコーカソイド 人種とされるが、肌の白さや文化・宗教の違いからヨーロッパ系白人からは同じ白人としてみなされる場面は少ない)」
と書かれていますが、
マルコムXの自伝に書かれている内容などから判断すると、
必ずしもいわゆる「アラブ人」のことを「白人」といっているわけではないと考えられます。
というのは、
マルコムXは、「アラブ人」のことを「褐色の肌の人々」と呼んでいるからです。
つまり「白い」とは考えていなかったと考えられます。
人種的に言えば、
例えば、肌の色がかなり黒くてもインド人は(一般に「白人」と同一視される)「コーカソイド」ですが、
そのような科学的な分類はおそらく念頭になかったのでしょう。
イスラム教徒の中で、ヨーロッパ系であったり、あるいは、
いわゆる「白人」との混血が進むなどして肌の色が白い人たちを
マルコムXは「白人」とみなしていたと考えられます。
映画「マルコムX」の中でも、
「白人」とされる人々は実際に北方のヨーロッパ系のように肌が白い人々として描かれています。
Wikipedia の記事+コメント つづき
「非暴力的で融和的な指導者だったキング牧師らとは対照的に、アメリカで最も著名で攻撃的な黒人解放指導者の一人だった」
という文章が、ウィキペディアの記事の冒頭部分に見つかると思います。
これは、少し補足説明が必要でしょう。
確かに、「攻撃的な黒人開放指導者」として知られていた、というのはほぼ間違いありませんが、マルコムXは次第に、特に死の直前には、より穏健になりつつあった、といってよいでしょう。
実際、過激主義的な黒人たちの間には、マルコムXの路線に飽き足らないような動きも出てきていました(後述)。
マルコムXとキング牧師は、スタートしたときには対極的な見解を持っていたけれども、
後には互いに接近して行った、
というのが、アメリカのジェームズ・コーン(ユニオン神学校教授)が提示している見解です。
私がこのブログを書いているのも、
決して、マルコムXの「過激さ」や「攻撃性」を見習いたいからではありません。
マルコムXは、自分が正しいと思えばそれを率直に行動に移し、
自分が間違っていたと思えばそれを率直に改めることができた、
という点でとても良心的であった、と思うのです。
Wikipedia の記事+コメント
ウィキペディアにある「マルコムX」の項目を紹介しておきたいと思います。
私も以前はずいぶん記事を書いた「ウィキペディア」には間違いも多いのですが、
この記事は(実際にはほとんど引用から成り立っているため)ほぼ信頼できるものです(7月22日現在)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%A0X
「マルコムの母は黒人と白人の混血で、マルコムの祖母が白人に強姦 されて生まれた。」
現在アメリカなどにいる「アフリカ系アメリカ人」は肌の色合いにかなりの差があります。
もちろん、日本人といっても肌の色が白い人から黒い人までいろいろですので、
個人差は当然あるのでしょう。
ただ、それだけでなく、いわゆる「混血」の度合いによっても
肌の色に違いが出てきます。
もちろん、自由意志による結婚で生まれた場合もあるでしょう。
しかし、そうでない場合も多かったのです。
現代の日本人の感覚からはかけ離れているかもしれませんが、
かつての「黒人奴隷」は「人間」ではなく「財産」と考えられていたことに注意しなければなりません。
「財産」として考えられていたという点では、動産や家畜と同列にみなされていたわけです。
家畜を含めて財産というのは、ふつうは、増えれば増えるほどよいと考えられているわけです。
ですので、
かつての奴隷所有者の中には、家畜を増やすのと同じ感覚で黒人奴隷の女性に子供を生ませた例も多かったのです(マルコムの祖母が必ずしもそうだったと主張するわけではありませんが)。
つづく・・・・
MLK 「ドリーム・スピーチ」
知らない人はいないキング牧師の「私には夢がある」の動画です。
以前の記事でも言及しましたが、アメリカン・レトリックでも堂々の1位に輝いています。
http://jp.youtube.com/watch?v=PbUtL_0vAJk
(クリックするとYouTubeの該当ページが開いて再生が始まるはずです)
リンカーン大統領による奴隷解放宣言から100周年の1963年8月に
20万人以上が参加したワシントン大行進の中で行われた演説です。
動画を見ていただければわかりますが、
マイクがいくつも置かれています。
この動画に用いられている音声は数ある中で最もクリアなもののひとつだと思います。
他のマイクが拾った音は時に割れています。
動画を見るとわかることがほかにもあります。
キング牧師は途中から原稿を読んでいません。
普段の説教で用いていた言い回しなどもあるでしょうし、
引用されている聖書の箇所は暗誦していたものでしょう。
それにしても、米国史上最高と言われる演説が一部即興されたのは驚異的だと思います。
ワシントン大行進に対してマルコムXがなぜ批判的だったのか、
今後紹介していきたいと思います。
なぜマルコムXはキング牧師に協力しなかったのですか?
死の直前の時期を除けば、マルコムXがキング牧師に批判的であったことは確かです。
彼は暗殺される直前に、キング牧師などの穏健派と提携する用意があるという声明を発しましたが、
実行する時間がなかったのだといえるでしょう。
ではなぜマルコムXはキング牧師に批判的だったのか?
理由はいくつもあるでしょう。
例えば、
ムスリム(イスラム教徒)とキリスト教徒の間の反感
もある程度はあったに違いありません。
それ以外にも、以下のような理由があったと思われます。
人種差別の問題を
白人⇔黒人
という単純な図式で理解することは正確ではありません。
WASP (White Anglo-Saxon Protestant) と言われるエリート層(ブッシュ大統領などがその典型です)は、
イタリア系白人を含む他のグループを蔑視し、
イタリア系白人はアジア系などを蔑視し、
韓国系移民は黒人などを蔑視し、
中産階級の黒人は下層階級の黒人を蔑視する・・・
というように複雑に絡み合っていると考えるほうが事実に合います。
マルコムXが批判したことのひとつは、黒人の間で当時指導的立場にあった人たちが大部分の黒人の利益を代表していないという点です。
利益を代表しないだけでなく、自分たちの指導的立場を保全するために多くの黒人の利益を損なっていた
とマルコムXは考えます。
白人の問題であっただけでなく、黒人の間の問題でもあったわけですね。
YouTubeで視聴できるマルコムXの動画
YouTubeで視聴できるマルコムXの動画のリストです。
次第に拡充していきたいと思います。
ちなみに英語です。ただ、非常に聞き取りやすい部類に入ると思います。
英語の勉強にもなるでしょう。
MALCOLM X: By Any Means Necessary
http://jp.youtube.com/watch?v=WkTnUxLjO2E&mode=related&search=
Malcolm X at Oxford University
http://jp.youtube.com/watch?v=UD1K_ssAvtk&mode=related&search=
MALCOLM X: Malcolm X Explains Black Nationalism
http://jp.youtube.com/watch?v=TO6Co8v2XjY&mode=related&search=
MALCOLM X: The House Negro and The Field Negro
http://jp.youtube.com/watch?v=znQe9nUKzvQ&mode=related&search=
MALCOLM X: Our History was Destroyed During Slavery
http://jp.youtube.com/watch?v=ENHP89mLWOY&mode=related&search=
Malcolm X - Who are YOU ??
http://jp.youtube.com/watch?v=63OHMLf9wUc&mode=related&search=
これも失われてしまった姓(family name)や失われてしまった言葉、伝統についての演説の一部です。
Malcolm X: after hajj, discussion of race and re-education
http://jp.youtube.com/watch?v=AojtR9qMf7U&mode=related&search=
まだまだあります。
マルコムXは、白人が黒人を差別するのに反対したんですよね?
確かにそういう面はもちろんあります。
しかし、それだけではありません。
「人種差別」がある人種が他のある人種より劣っていると考えること、であるなら、
白人より黒人が劣った存在であると考えていたのは、
マルコムXによれば、白人だけでなく黒人もそうだったのです。
マルコムXが生まれ育ったアメリカ北部では、黒人たちは自分たちの可能性を信じることができず、
無気力で投げやりな人生を送り、
黒人に生まれたという事実を忘れるためにアルコールやドラッグにおぼれている、とマルコムは言います。
ですから、黒人が自分たちより劣った存在だと白人が信じ込んでいたことだけでなく、
黒人自身が自分たちが劣等人種だという偏見を「内面化」してしまっていたことが批判されます。