末期癌の同級生の死から、もう1年。
(先月が一周忌でしたが)
今年もこの時期にその面影を思い出す。
そして、この島崎藤村の「惜別の歌」も。
遠き別れに堪えかねて
この高殿に昇るかな
悲しむなかれ我が友よ
旅の衣を整えよ
思えば、癌が分かった頃から、しきりに同窓会をしたい事を強く言ってたけど、生憎コロナの影響で開催されず仕舞いで、80歳の恩師の顔も見ずに逝ってしまった。
抗がん剤の影響で、体の不調が続く時でも、出会えばいつも笑っていたその姿は今も目に焼き付いている。
葬儀は、家族葬だったけど、お願いして最後のお別れに行った時、棺に眠る顔は穏やかに微笑んでいた。その時、この惜別の歌の「旅の衣を整えよ」が浮かんできた。旅の草鞋の紐はしっかりくくったか、脚絆は・・、雨よけのすげ傘は用意したか・・。悲しまないで我が友よ、いずれ僕らもそちらへ行けば、またゆっくり笑顔で話そう・・、そう思えた。
別れと言えば昔より
この人の世の常なるを
流るる水を眺むれば
夢恥ずかしき涙かな
この綺麗な七五調の歌詞、同級生の死も、この詩が蘇るきっかけとなったけど、この秋という時期は、出会いと別れを感傷的に
意識出来る時期なのかもしれない。よく卒業入学の時期の、
春が出会いと別れといったイメージがあるけど、大きな意味で人生の
出会いと別れは、やはり秋という時期なのだろう。
別れは、勿論もの悲しさを醸し出す「死」だろうけど、出会いとは?今思うに、友人知人の死に出会う齢になって、改めて、自分の残りの人生を見つめ直す意味での「出会い」なんだろう。
今年も、もう10月下旬、時の経つのが早く感じるけど、早くに逝った友の分まで、日々大切に過ごせたらと思う。