女王國東、渡海千餘里、復有國、皆倭種。
又有侏儒國、在其南、人長三四尺、去女王四千餘里。
又有裸國・黒齒國、復在其東南、船行一年可至。
參問倭地、絶在海中洲島之上、或絶或連、周旋可五千餘里。
(書き下し文)
女王国の東。海を渡ること千余里。復た国有り。皆倭種なり。
又侏儒(小人)国有り。其の南に在り。
人の長三、四尺。女王を去ること四千余里。
又裸国・黒歯国有り。復たその東南にあり。船行一年にして至るべし。
倭の地を参問するに、
海中州島の上に絶在し、或は絶え、或は連なり、周施五千里ばかりなり。
（現代文訳）
女王国の東の海を渡った一千余里にまた国がある。
（住んでいる人は）皆倭種である。
この女王国は明らかに王都・邪馬台国ではなく、女王国連合＝倭国のことである。
そうすると女王国連合の東の端は今の大分県国東半島か佐賀関辺りとなるので、
其処から東に海を一千里（70～100km）渡ると、倭人の住む国、四国があるわけである。
此処で陳寿が四国に住む人のことを倭人ではなく倭種と書いたのは、
陳寿は四国が女王国連合＝倭国には含まれないことを知っていたので、
倭国の人ではなくとも倭人の一種と云うことで、あえて倭種と書いたのであろう。
又、侏儒（小人）国がある。その(女王国の)南にある。
其処の人の身長は三、四尺（60～80㎝）しかない。（現代の尺度でも90～120㎝）
女王国から離れること四千余里の位置にある。
女王国の南四千里に有る小人国とは、種子島・屋久島のことと思われる。
このことに関しては、種子島に弥生時代の遺跡である広田遺跡が見つかっています。
広田遺跡から出土した人骨はかなり身長が低いということだが、
それでも三、四尺（60～80㎝）迄は小さくなく、かなり誇張した話になっています。
埋葬された人骨を調べた結果、広田人は身長が成人男性で平均約154㎝、女性で平均約143㎝しかなく、
同じ頃の北部九州の弥生人（成人男性で平均約163㎝、女性で平均約152㎝）と比べても、
極めて身長が低い人々であることがわかりました。
以上の考古学所見からも、
当時の種子島・屋久島が侏儒国(小人国)として認識されていたようである。
ところが、南海の島国には実際に身長が三、四尺の人がいたわけである。
それがフローレス島に住むフローレス人であり、主に洞窟に住んでいた。
フローレス島とはインドネシアの大トカゲで有名なコモド島の隣にある島である。
魏時代の中国人の一部にもこのフローレス島に住む小人の情報が届いており、
倭国が南方系だと云うことで、倭国の南の種子島に住む身長の小さい人たちと、
フローレス人のことをごっちゃにして、この記載となったと考えられる。
実物大(身長110センチメートル)に復元した「フローレス原人」とフローレス島にいた動物たち
この島では象も小さかった様である。(提供：国立科学博物館〈常設展〉)
又、裸國・黒歯国が有る。またその(女王国及び侏儒国の)東南に在る。
船行一年で辿り着くようである。
倭国の地を参問するに、海中洲島の上に絶在し、
或いは絶え、或いは連なり、周旋五千里ばかりであるらしい。
この場合の参問とは(倭の地に渡来した裸国・黒歯国の人に質問したら、
彼らの国についての話をした)の意味である。
決して、倭の地を訪れた者に対し、倭国の地理を教えているわけではない。
倭国の地理については既に十分書かれており、ここで又、再び繰り返す必要はない。
つまり、この周旋五千里ばかりとは裸国・黒歯国の話なのである。
以上より、裸国・黒歯国とは、パラオ諸島のような南海の島国のことと考えられる。
また、パラオ諸島の人々は普段から裸で過ごし、肌が浅黒いのだが、
それを歯が黒い国と間違って記載したのだろう。
パラオ諸島の光景
パラオ諸島の地図
パラオ諸島はまさに海中洲島の上に絶在し、或いは絶え、或いは連なり、周旋五千里ばかりである。
この地理は倭国の地理にもよく似ている為、未だに倭国の話と感違いした説が横行しているのである。
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