大谷翔平選手騒動で思う言語の壁と人工知能A.I.への危惧 | 石渡誠 Language Teaching for a Better World

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FORWARD代表 石渡誠

いよいよ本日から大リーグも本格的に開幕です。大谷選手は、第1打席から2塁打を放ち、3打数2安打1得点と勝利に貢献してファンの方も安堵したのではないでしょうか。

 

まさかの水原通訳が突然解雇、不正ギャンプルと窃盗事件にも巻き込まれて、様々な憶測が交わされる中、3日前に会見を開いた大谷選手。弁護士が書いた内容を読み上げるのではなくて、自分の言葉で、事件の経緯を説明をしていました。

 

怒ったり、責めたりする口調ではなくて、水原氏を「一平さん」と呼びながら、ことの真偽と胸中を明かしてくれました。海外メディアの反応も、大谷選手が想像以上に率直に多くのことを話してくれたと、好意的な報道が多かったので嬉しかったです。

 

しかし一方では、日本とは違うバッシングも飛び交っています。中でも歯痒く思うのは、彼らが日本語がわからないために、大谷選手のニュアンスが上手く伝わっていないことです。たとえば、大谷選手の話しているシーンがカットされて、全て通訳者のアイアトン氏のみ流されている番組も目にしました。

 

 

アイアトン氏の通訳能力は優秀であり、頭脳も明晰、お人柄も素敵な方にお見受けします。ただし、当然の事ながら大谷選手ではありませんから、伝わり方が変わります。また、大谷選手が言ったことを丁寧に聞いて、大切なポイントを要約して間違いがないように通訳されています。それは通訳者としては適切な行為なのですが、大谷選手が口に出した一文一句を伝えてはいません。

 

通訳には限界があるのです。また通訳に頼ることでの危険性も、今回のケースで強く感じました。例えば、「アイアトン氏の通訳した言葉」が、「大谷選手の言葉」としてアメリカに広まったりするだけではありません。

 

今回の騒動の元を正せば、大谷選手のサポートチームが、「水原氏の言葉」が「大谷選手の発言」だと信じてしまっていたからです。

 

その結果、大谷選手が当初の発言を撤廃したというような、誤った報道も米国では見られます。

 

極端な例ではあるものの、本人の発言を確かめることをせずに、大谷選手のチームが、通訳者の発言をそのまま鵜呑みにしたことで、真相が全く分からなくなり、不要な疑心暗鬼や不安を駆り立てたと言えます。

 

水原氏のおかげで、大谷選手にしてみれば、英語の学びの時間が短縮されて、野球に没頭できたかと思います。ただし、水原氏に頼りきらず、自らもっと周りと、英語でのコミュニュケーション取っていれば、もしかすると今回のような騒動にならなかったのでは、ないでしょうか。

 

昨今、AIの急速的な発達により、既に私たち全員が最優秀な通訳をスマホの中に手にしています。一文一句を逃さずに、正確な通訳を多言語で簡単にしてくれます。あなたの声や話し方の特徴を掴んで、AIがあたかも、あなたのように話してくれます。

 

世の中には、もう英語は学ぶ必要がないのでは、と感じている方も多いようです。でも今回のケースのように、AIに頼りすぎると、AIで発せられる「あなたの発言」が、あなたを困らせることになるかもしれません。そんなことを痛切に私は感じました。

 

英語は、世界で最も通じる言語なので、こんな時代だからこそ、しっかりと学ぶ必要があるのではないでしょうか。また英語習得のためにも、AIの手伝いを受ける事で、これまで以上に、遥かに早く楽しくできる時代になっています。

 

私達日本人はもっと勇気と希望を持って英語を学び、使っていきたいですね。