■あらすじ
●斯波…ケアセンター職員、優秀
●井口…同職員、ベテランさん
●大友…検事
●団…センター長
●足立…新人の職員、斯波を尊敬
ケアセンターで勤務する斯波は、どんな時も真摯に老人たちに向き合っていた。
それと同時に、介護をする立場の人のことも慮ってる。
職員の足立は、
「素敵~」
と尊敬の念を抱き、
井口もまた、彼なら大丈夫と絶大な信頼を寄せていた。
ある日、センター長の団と老人の死体が発見される。
ケアセンターには老人たちの家の合い鍵が保管されており、団はそれを使って盗みに入ったらしい。
たまたまそれを目撃した斯波が、団と揉み合いになりKILLしてしまったと逮捕されてしまった。
斯波は犯行を認めたが、なぜ自首しなかったかの問いかけに、こう答える。
「二人も職員が抜けたら、業務が回らなくなるじゃないですか」
検事の大友は団の死体のそばに落ちていた注射器が気になって仕方ない。
大友自身は実の母を老人ホームに入れ、仕事に邁進している。
金ならある。
ただ自分には、母をケアする時間はない。
大友はケアセンター管轄内で亡くなる老人が多いことを発見。
既に41人が不審死。
斯波に詳細を聞く。
斯波はケアしていた老人たち42人を安楽死させていたことを認めた。
介護している家族は心身ともに疲弊している。
このままでは共倒れになってしまう。
介護する人にもその人の家族も人生もあるのだから解放してやりたかった。
それが斯波の意見。
大友は「それでも、それ殺人じゃん」と斯波を追い詰めるが、
実は彼女自身音信不通になった父親に関しては無視をし続け、先日孤独死したという情報を手に入れたばかりだった。
そして母の認知症も進んでいく。
証拠が挙がっている41人。
しかし斯波は言う。42人と。
あとの一人は誰。
斯波はかつて父親の介護をしていた。
介護に手を取られ、介護しかできない生活。
「お前が息子でよかった」
それを読み、斯波は涙するのだった。
もう一度問う。
斯波は善なのか。
悪なのか。
それは答の出ない問いかけ…。
■おしまい
■感想
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0C68WD3YM
原作既読。
最近、この手の「介護問題」「老後ケア問題」の作品が映画・小説ともに増えてきてるのは、
「他人事ちゃいまっせ」が多くなってきてるからだろうか。
介護して、パートして、子育てして。
そんなハードな生活で心身ともにくたくたで倒れそうなのに「よくもKILLしたな」って思えるのがすごいや。
アタイにゃ、無理ぽん。
そしてされる方の立場になっても、
アタイにゃ耐えられんからKILLしてくれていいぽん。
人間さ~、情だけじゃ生きて行けねぇと思うわけよ。
あっちもこっちも面倒見て共倒れになるなら、切り捨てられるところは切り捨ててもいいと思うのよ。
文句言う人には言わせといたらええがな。
少なくともマダムは、
「それはそれでええんちゃう?」と思うから。
責めたり、せぇへんよし。
『PLAN75』が福音だと思うのは、そういう部分から。
↑鬼畜マダムのレビューはこちら。
介護しに帰ったら怖い目にあうのはこちら。
↓
大友検事のお母さん、最初はちゃんと話出来てたのに、終盤は会話も成り立たなくなってるじゃん。
あれ、施設に入れてるからいいけど、一人で面倒見てたら気が狂うよ。
はよシんでくれへんかなって思うよ。
斯波が生活を投げ打って父親の介護して、どんどん薄汚れていくのが観てて辛かった。
ちな、原作からかなり改変がごぜーます。
原作を映像化するのは難しいよね。
だから、ミステリではなく社会派ドラマ・時々殺人、って感じで観るのが良いかと思われ。
松山ケンイチさんと柄本明さんとのシーンはマジで辛いので、
多くの人に観て頂いて、
介護は甘っちょろいもんじゃないし、
汚くてしんどくてHPどんどん削られていく、
よほどの遺産が手に入るんじゃないなら出来ませんわ(金で動いて何が悪い!)。
ってことを理解してほしい。
逃げたって仕方ないよ。
家族でも耐えられない部分はある。
そこはみんなでわかりあっていこうや。
奇麗ごとだけ言いたい奴は言うとれ。
この映画のテーマは。
今後ますます増えていくであろう
介護をテーマにした作品たち。
観るのがマジ辛い。
これ!