『ヘンテコリンおじさん』

みやにしたつや 


講談社 2013 1274

http://tinyurl.com/koctcpw


対象年齢:年齢に応じて読むことができます。

(読んでもらうには)3歳から

(自分で読むには)4歳から大人まで 


   失われつつある「大切なこと」や「正しいこと」、「ステキなこと」を何とかしたいと、作られた絵本です。それなのに、ユニークで夢一杯。主人公のおじさんに会いにいきたくなりますよ。

  

  <あらすじ>

 舞台は恐竜やマンモスがいた大昔。あるところに眉毛のつながったヘンテコリンなおじさんがいました。


   ヘンテコリンのおじさんはプテラノドンに乗り、ヘンテコリンなことを言ったり、したりしていました。おじさんがしていた「ヘンテコリンなこと」ってどんなことでしょう。


 ある夜、おじさんはプテラノドンに食べ物や水を積んでいました。みんなが行き先を尋ねると、おじさんはニコニコして言うのです。「きらきら輝くお月様まで」。みんなはバカにして笑います。けれど、孫の孫の孫の孫のその孫は月に行きました。


   みんなは速い方がいいし、かっこいいと思っています。だから「速く、速く」とせかす。でも、おじさんはフラフラのプテラノドンに乗っている。もちろん空を飛ぶのは遅い。さらに「ゆっくりのんびりいこう」って言う。「急いで事故にあったら大変。ステキな景色をゆっくり見ないなんてもったいないだろ」って。


 おじさんは決してあきらめない。マンモスにやりを投げる時も、数本届かなくても「うりゃー!おりゃー!わおー!」すごい顔して投げ続ける。


   他にも表情が豊かなおじさんの行動が明らかになって・・・

    

    * * *

 お風呂に入って幸せを感じるおじさんを見ているだけでもすがすがしい気分になります。「こんなおじさんが増えるといいな」という作者の願い、叶うといいなと思いました。

                                       (浦田 ひろみ)