映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

『フレンチ・ディスパッチ

  ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡)

公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html

 

本作で一番大事なのは、ウェス・アンダーソン監督作品であること。

ダージリン急行ムーンライズ・キングダム

グランド・ブダペスト・ホテル犬ヶ島

全ての作品を観たわけではありませんが、今や私の中では、

何人かいる「名前だけで無条件に観に行きたい」監督の一人です。

 

題材や台詞に常に新しい発見をもらえますし、

カメラに正対した、いうなれば絵画的な美しさを感じる映像に、

本作はカラーとモノクロ、アニメーションも上手く組み合わせた演出。

シュールレアリスム(解ってるのかな、私・・・)なんですけど、

決して今ある現実の遠くまではいかない、共感しやすい世界観。

といっても、実は1回観ただけじゃよく分からないところも多く、

クセの強さがクセになる。とでもいいましょうか、

好みは分かれるかもしれませんが、とにかく私は好きな監督さんです。

 

ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、フランシス・マクドーマンド、

エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントンらの常連組に、

本作ではベニチオ・デル・トロ、ティモシー・シャラメ、

ジェフリー・ライトらが加わった豪華キャスト!

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホームとハシゴして観たので、

ウィレム・デフォーを1日に2回も観ちゃった!

本作も過去の作品も雰囲気だけならミニシアター系ですが、

TOHOシネマズのようなバリバリのシネコン上映作が少なくないのは、

この出演陣の顔ぶれのなせる業でしょうか。

 

(以下、感想は“適度”にネタバレしてます。ご了承ください ※普段ほどじゃない?)

国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで、

深く切り込んだ記事で人気を集めるフレンチ・ディスパッチ誌。

編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.のもとには、

ひと癖もふた癖もある才能豊かなジャーナリストたちが揃っています。

が、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定してしまいます。

 

で、追悼号が最終号となり、主要3本の記事が上がってきました。

映画としては、この3本がオムニバス形式で描かれています。

1.コンクリートの「確固たる名作」

  服役中の凶悪犯にして天才画家と彼に関る人たちの顛末。

2.「宣言書の改訂」

  学生運動のリーダーはカリスマ性があるが女性に弱く・・・。

3.「警察署長の食事室」

  署長お抱えの伝説の“警察料理シェフ”を取材していたら・・・。

 

それぞれの記者がストーリーテラーとなっていて、

観ている我々もそれなりに雑誌を読んでいるような気分になります。

最後に編集長への追悼記事が書かれて、

そういうテーマがあるのかどうかは分かりませんが、

私個人としては、人はみな孤独なんだけど独りぼっちなわけでもない、

という、矛盾してるようなしてないような、そんな思いになりました。