映画『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

(上映中~:TOHOシネマズファボーレ富山、J-MAXシアターとやま、TOHOシネマズ高岡)

公式サイト:https://www.spiderman-movie.jp/

 

前作でホログラム技術を武器に操るミステリオを倒したピーターでしたが、

ミステリオが残した映像をタブロイド紙の「デイリー・ビューグル」が

世界に公開したことでミステリオ殺害の容疑がかけられてしまったうえに、

スパイダーマンの正体はピーター・パーカーだと暴かれてしまいました。

マスコミに騒ぎ立てられ、ピーターの生活は一変します。

MJやネッド、メイおばさん、大切な人に危険が及ぶことを恐れたピーターは、

「アベンジャーシリーズ」で共に闘ったドクター・ストレンジに助けを求め、

「魔術の力で自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしい」

と頼むのですが、そのことでたいへんなことに・・・という展開です。

 

私、サム・ライミ監督のスパイダーマン』3部作は好きでしたが、

スパイダーマン: ホームカミングからの現シリーズはどうも好きになれず、

前作の感想なんか、ちょっとしか書いてません(>_<)

アメイジング・スパイダーマンも最初は「あれ?」って感じでしたが、

~2を観た時は「早く続編を!」と思ったのに。結局、なかったですが・・・。

 

本作でMJが「期待しなければ失望しない」と何度か言っていて、

ホントそんな感じで、ここまで観たから最後まで観るか・・・程度で、

映画館の古くから知るスタッフさんに「あれ?今ごろですか?」

とか言われても、別にそんなに楽しみじゃなかったしエエやん!と。

実際、序盤のピーターはあいかわらずの甘ちゃんで、

あぁこのシリーズはやっぱり・・・なんて思っていたのですが、

あるシーンから、完全に私の心は鷲掴みにされました。

 

まさか!?

こんなに興奮することになるとは!!!

しかも、3回くらい泣いちゃったし(T_T)

え~と、以下の文章は完全なネタバレなのですが、

書きたい気持ちが抑えられないので、ほぼ白文字で書きます。

(カーソルでなぞっていくと読めます)

 

↓↓↓↓↓↓↓

序盤、ドクター・ストレンジが魔術の呪文を唱えているときに、

パーカーが「あ、MJだけは僕のこと忘れないようにして」と言い出して、

その後も「ネッドも」「メイおばさんも」と何回も邪魔をするという、

落語『池田の猪買い』で山猟師の邪魔をする男みたいでした。

これで魔術は失敗したどころか、たいへんなことになりまして、

別の時空からドクター・オクトパス、グリーン・ゴブリン、エレクトロ、

サンドマン、リザードなど、かつてのヴィランを呼び寄せてしまいます。

 

で、ドクター・ストレンジが「全員、お前が捕まえてこい。

捕まえてきたら、俺が彼らが本来いた時空に送り返してやる」と。

でも、そうなったら、また戻った世界で彼らは殺されてしまう。

もとは普通の人間だったのに、それは可哀そうだとパーカー。

私、やっぱり彼は甘いなぁと思うだけで、この時はまだ気づかず。

ヴィランたちをかつて演じてた俳優がそのまま演じていても気づかず。

 

ただ、グリーン・ゴブリンによってメイおばさんが殺されたときは、

さすがに涙腺が緩みました。そして、彼女からあの台詞が!

「大いなる力には、大いなる責任がともなう」

一方でゴブリンからは「その道徳心がお前の弱点だ」と指摘され、

お~これこそ、ピーターが苦悩してこそのスパイダーマン!

 

そしてついに、私が興奮する瞬間がやってきました。

なんと!?時空を超えて、アンドリュー・ガーフィールド登場!

出てきたと同時に、私も客席で思わず「アメイジング!」、

すみません、小声でしたが、他のお客さんに迷惑だったかも。

その直後に、これまたなんと!?トビー・マグワイヤも登場(@_@)

 

仮面ライダーV3の前に1号と2号が現れた!

帰ってきたウルトラマンを助けに初代マンとセブンがやってきた!

いや、興奮を呼ぶ設定は似てますが、実現可能度が全然違います。

スパイダーマン、時空だけでなく権利の壁まで超えてきた~!?

ただ、かつてのヴィランが登場した時点であり得ることなんですよね。

アニメスパイダーマン:スパイダーバースにもこの設定はありました。

 

面白いのは、ただ出てきたことだけじゃないんです。

ネッドが「ピーター」と呼んだら、3人そろって返事するという、

お約束というか予想通りのギャグがあったのは別として、

初代スパイダーマンだけが生身の腕から糸を出しているのを、

他の二人が興味深く訪ねて、“糸”談議になったり、

アメイジング・スパイダーマンが「自分はしょぼかった」的な自虐を言うと、

初代が「そんなことはない、君はアメイジングだ」と慰めたり、

それぞれにピーター・パーカーとして苦悩したという話をしたり、

もう回収、回収、また回収のオンパレード!

 

クライマックスは3人が力を合わせて戦うことになりますが、

初代とアメイジングは今までほぼ単独で戦ってきたので、

なかなか息が合わないところを、

現スパイダーマンが「僕はアベンジャーズでの経験がある」と、

二人にチームとしての戦い方を指導します。

私、マーベルになってアベンジャーズ色が強くなったのを、

自分がシリーズを観ていないせいもあって、

それってどうなのよ?と思うところもあったのですが、

いや、こんな風に設定を上手く使われたら脱帽です。

 

一番感動したのは、戦いの中でMJが高所から転落して、

それを助けたのが、現スパイダーマンではなくアメイジングだったこと。

本当に良かったですね。ここでも思わず涙が出ました。

彼は自分の時空では恋人グウェンを助けられなかったのですよね。

完結していない『アメイジング~』シリーズだっただけに、

なんとなく本作で大団円、終了感を出せたような気もします。

 

また、現ピーター・パーカーの「ヴィランを殺さない」姿勢は、

気の毒だが仕方ないという、実際によくある社会の現実に、

そうではないのでは?と「理想の楔」を打ち込んだ印象です。

とはいえ、実はまだまだ他にもヴィランが襲ってきそうだという中で、

ついに、当初の狙いだった魔術を使って欲しいと、

ドクター・ストレンジに現ピーターが頼みました。

もうごちゃごちゃと呪文は変えてはいられません。

全ての人が、MJもネッドも、ピーターのことを忘れてしまいます。

それでも構わない。現ピーター、本作で一気に成長しました。

 

でも、多分大丈夫。私の勝手な想像ですが、

みんながピーター・パーカーを忘れても、MJは思い出すはず。

だって、最後の別れ際に熱いキスを交わしたから。

キスの記憶も「スパイダーマン」の大事な要素ですものね。

一応は本作がシリーズ最終章と銘打たれていますが、

果たしてどうなりますか。いや、あってもなくても良いですよ。

あのキスは必ず思い出すフラグだから、確かめる必要はないです。

 

いやホント、ごちゃごちゃ文句言いながらも、

ここまで『スパイダーマン』シリーズを全て観てきて良かったです。

しつこいようですが、アベンジャーズとしてでなく、

スパイダーマンとしてまとめ上げてくれたことが私は嬉しい(^^♪

 

エンドロール明けに、

ドクター・ストレンジの新作の予告が流れていました。

キャラクター覚えました。楽しみです。