視察報告:イッシー・レ・ムリノー市に存する博物館について
現地出席者:博物館長、国際交流副市長、国際交流課長
<概要>
ムリノー市にはフランスでも最大のトランプの博物館が存することから、現地職員の案内により現地施設を視察した。
建物は地上に2階、地下に2階まで下がる造りとなっており、街並みを損なわないよう、外観に伴う景観配慮にも工夫がなされている。地下展示スペースは採光がなく薄暗い館内となっているが、博物館の性質上、重厚感の演出と展示作品の痛みへの配慮などを鑑みると地下構造の展示室も理にかなっている。
館内には、日本の「かるた」「花札」のような日本製のカードも資料として展示されていた。展示資料の数は膨大で、歴史的にも価値の高いタロットカードなどの展示もあり、ムリノー市民のみならず、トランプ、カードに関連する資料を求める方にとっても貴重な存在となっているようである。
音声ガイドも完備されており、来館者は、専門的な説明をデジタル機器で聞きながら館内をまわることができる。尚、音声はフランス語と英語が準備されている。
<視察を終えて>
本市にも東山魁夷記念館をはじめとして、多数の文化施設が存在している。
文化施設を持つ地方自治体として、ムリノー市の専門性を極める姿勢や、来場アピール力は本市としても見習うべき点が存在する。
視察所要時間は約1時間と短かったものの、通訳を介して伺う博物館職員の説明には、専門性の高さを感じることができた。
フランスは親日感情が強い国としても知られているが、本博物館でも最近、「かるた」展示会を行い、日本のかるた文化をフランス国民、ムリノー市民に紹介する場としての活用もなされていたことを申し添えたい。この試みは、広く市民に他国の文化を資料として開示し、理解を深める機会とする点で高く評価したい。
本市の文化施設においても、現在の展示資料に関連する分野にて国際的資料の展示の場としての活用も視野に入れ、今ある既存の施設を大いに活用し、広く近隣市民、資料展示に専門性を求める人々も含め多くの方々の来場を目指す開かれた文化施設として、様々な試みを今後も続けていくべきであると実感した。