辻村深月『クローバーナイト』 | たまには跳ばずに観るFOOTBALL

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秋田出身の埼玉住み。
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と書いています。
ブログタイトルは遠い昔よくサッカーを飛び跳ねながら
観ていた名残り。

 

図書館本。

 

初めて読む著者の方です。

どうもスキンヘッドのいかついオッサンの顔が浮かんできたのだが、あれは花村萬月さんか。

辻村さんは女性のようです。

 

2人の小さな子どもを持つ父親が主人公。

彼の仕事関係や大学の同級生が保活やママ友関係でちょっとした事件を巻き起こすお話。
 

文章はこなれていて非常に読みやすく、作家としての能力は高いように感じました。

 

ただ、どうにも主人公夫妻に共感できなかったのは、物語全体に漂うセレブ感のせいか。

主人公たちは公認会計士と売れっ子デザイナーの夫妻という、普通に勝ち組。

100万かかるお誕生日会や私立お受験など、俺の人生には関わりないものばかり出てきます。

 

きっと中小企業社員とパートでは話が成立しないんでしょう。

最後まで読んで納得したのは、これが「VERY」連載だったということでした。

荻原浩なら「発泡酒をビールに」で夫のささやかな幸福感を表現できるのですが、ラベルが違いすぎる。

 

それでも、育児世代ならツッコミ込みで興味深く読めるのかな。

桐野夏生が同じ設定で描いたら徹底的にドロドロになるやろなぁ…。