図書館本。
奈良時代を舞台にした短編集。
吉備真備や鑑真ら、教科書で習った名前がガンガン出てくる。
表題作の主人公は道鏡。
かつては将門、尊氏と並び日本三悪人の一人とされた人物ですね。
宇佐八幡宮神託事件では、彼の皇位を阻止した和気清麻呂が後日英雄に。
皇居・竹橋付近にある銅像もランナーにはお馴染みです。
作内で道鏡は気の小さい僧として描かれ、天皇のための行為で謗りを受けたという設定。
だいたいは「不遜にも天皇の座を狙う怪僧」的な扱いになるんだけど、
こんな「小物」の道鏡を描いた作品は少ないのではないかと思う。
前回『若冲』を読んで、やっぱこの著者は奈良や平安時代の方が面白いなと再認識。
歴史に詳しい人からすれば、いろいろとツッコミどころはあるのだろうけど。