SSRIを飲んでうつ病がよくなる人は、飲んだ人全体の3分の1です。
あとの3分の1の人はそこそこよくなって、残りの3分の1の人はよくなりません。
完全にはよくならない人が半数以上もいるのです。
では、薬を飲んでもうつ病から回復できない人には希望はないのでしょうか。
精神科医で『スマホ脳』や『ストレス脳』の著者のアンデシュ・ハンセンさんは、患者さんに運動を処方することがあるそうです。
「薬ではなくて運動?」と思た人もいるのではないですか。
運動によってうつ病のリスクが低減することは試験で確かめられています。
20万人以上を追跡調査した研究があります。
被験者には歩数計を使ってもらい、1日にどれくらい運動をしたかを報告してもらいます。
調査の結果、毎日じっと座っている代わりに15分間ジョギングをすることで、うつになるリスクが26%減ることがわかりました。
1時間歩くことでも、同じようにリスクを減らすことができます。
11年間かけて、3万4000人を追ったイギリスの研究があります。
この研究では、うつの12%が、週に1時間の運動で予防できたと報告をしています。
1日15分座っている時間を減らして、代わりに運動をするだけで違います。
運動はどんなものでも構いません。
水泳、ジョギング、ウォーキング、サイクリングなど、自分の好きなものでよいです。
1日や2日では変化はなく、継続することが大切なので(SSRIでも、効果があらわれるまでに3~6週間くらいかかります)、
続けられるものがおすすめです。
「体を動かすのがつらい」「運動なんてする気がでない」という人もいるでしょう。
赤ちゃんが経って歩けるように練習をするとき
「自分で立って歩くのはめんどうくさいから、練習なんてやりたくない」
「うまくできなくていやだ」
「疲れるから練習さぼりたい」
なんて思っていませんよね。
おしりをつくことが何度もあっても、立って歩こうとします。
自転車にのれるように練習をしていたとき、何度も転んだはずです。
それでも練習を続けましたよね。
「痛いからもういやだ」と思ったこともあるかもしれません。
そう思っても、自転車にのれるようになりたいから、がんばって練習を続けましたよね。
そのかいあって、今では自分の足で歩けるし、自転車にのってどこへでもいけます。
つらいことの先には、うれしいことが待っているのです。
これまで運動をしてこなかった人は、最初はつらく感じるかもしれません。
つらいからと何もしなければ、何も変わりません。
変わりたければ、自分が行動をする必要があります。
1日15分でもいいから外を歩く。
うつから抜けだしたかったら、とにかく動くことです。