統合失調症の症状として、幻覚や幻聴があります。
でも、幻覚や幻聴があらわれたからといって、統合失調症とは限りません。
精神疾患の場合、患者さんのうったえをもとに診断をします。
うつ病の場合だと、「よく眠れていますか」「意欲はありますか」などの質問がされます。
こういった症状は、睡眠不足や栄養不足など、本当のうつ病でなくてもあらわれるものです。
病気の背景にあるものをみないと、本当にうつ病なのかわかりません。
統合失調症も同じで、症状だけをみていると、本当に統合失調症なのかはわからないです。
統合失調症のような症状がでていても、実は他のことが関係していたということがあります。
ある人は低血糖が原因でした。
血糖値は常に脳によって監視されていて、一定に保たれるようになっています。
食事をすると血糖値があがります。
すると、血糖値を一定に保つために、血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されます。
血糖値が急激にあがると、インスリンは大量に分泌されます。
すると、その反動で血糖値が下がりすぎてしまいます。
血糖値が下がりすぎた状態が低血糖です。
血糖値が高すぎても、低すぎても、体にとっては望ましくない状態です。
そのため、血糖値が下がったときには、アドレナリンやコルチゾールなど、血糖値をあげるためのホルモンが分泌されます。
統合失調症の原因ははっきりしていませんが、
アドレナリンが酸化してできる物質の影響ではないかという仮説があります。
血糖値が下がり、それをあげるためにアドレナリンが多く分泌されれば、
それだけ酸化したアドレナリンがたくさんできてしまいます。
甘いものをよく飲んだり、食べたりしている人は、低血糖に注意が必要です。
糖質の摂取量が多ければ、血糖値が急激にあがりやすくなります。
また、血糖値の上昇のしやすさにも注目してください。
砂糖は消化・吸収がすばやいので、血糖値を急激にあげます。
ジュースやお菓子などは、血糖値をあげやすい飲食物です。
糖質を摂りすぎない、血糖値が急激にあがるものを避ける、といったことが低血糖を防ぐことにつながります。
低血糖によって幻覚や幻聴を起こしていた人は、血糖値があがりにくい食事にして、症状が改善しました。
本当の統合失調症ではなかったのです。