脳の唯一の栄養源はブドウ糖です、は間違っています。

 

脳はブドウ糖だけをエネルギー源にしているのではないのです。

 

ブドウ糖以外のものも脳はエネルギーとして利用しているのですよ、ブドウ糖と他のものをエネルギーにするハイブリット型が脳を長持ちさせますよ。それを解説した本が『脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命』です。

 

では、脳はどのような物質をエネルギー源としているのでしょうか。

 

脳は体重の2%ほどしか占めていませんが、23%ほどのエネルギーを消費します。

重さの割にはエネルギーを使うんです。

 

そのエネルギー源として主に使っているものがブドウ糖です。

血糖値が安定しているときにはブドウ糖を利用しています。

 

しかし、常に血糖値が安定しているとは限りません。

暴飲暴食、絶食などによって、低血糖状態になってしまうことがあります。

 

エネルギー供給を絶たれたら大変です。

生命維持の指令を出しているのは脳で、脳が働かなくなってしまっては、脳だけでなく体に危険が及びます。

 

ブドウ糖が足りなくなったときに利用しているものがケトン体です。

 

ケトン体は脂肪酸を使って肝臓で作られます。

脳では、血管からニューロン(脳の細胞)に栄養を送っている、アストログリア細胞がケトン体を作ります。

 

人間の体には何日分もの脂肪が蓄えられているので、ブドウ糖が不足したときはケトン体を作ることができて、脳のエネルギー不足にはならず、安心できそうです。

 

ところが、そうはいかないのです。

 

ケトン体は、血中にインスリンがあるときには作ることができません。

インスリンが分泌されているのに血糖値が高い状態、これがインスリン抵抗性です。

インスリン抵抗性があると、血液中のインスリン濃度は高くなるので、ケトン体をうまく作り出すことができません。

肥満者はインスリン抵抗性に注意です。

脂肪が過剰にたまると炎症を起こし、それによってインスリン抵抗性がうまれてしまいます。

 

また、糖質の過剰摂取で血糖値が低くなることがあります。

糖質を過剰に摂取すると、血糖値が急激に上昇をします。

血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されます。

そして、その反動で低血糖状態になります。

低血糖でもインスリンが血液中にあれば、ケトン体は作られない可能性があります。

 

では、ケトン体を作れる体になるためにはどうしたらよいのでしょうか。

 

その方法の一つが、糖質をてきどに控えることです。

糖質の摂取量を控えて、インスリン分泌を抑えれば、ケトン体が作られやすくなります。

 

極端に糖質を控える必要はありません。

適度に控える程度で十分です。

ロカボという考え方があるので、その程度の糖質制限で十分なのではないでしょうか。

 

血糖値が安定していない場合、すなわち血糖値が乱降下する場合や、血糖値が低下した時に、ニューロンのエネルギー不足は必ず起こります。じつは、うつ病や認知症の基本的な原因の一つが、この「ニューロンのエネルギー不足」なのです。

 

うつ病を食事で治しましょうと提唱している人は、糖質を控えるようにと勧めています。

糖質を過剰に摂取すると、血糖値が乱降下をします。

糖質に偏った食事(パンやご飯ばかり食べている食事)をしていると、他のものを食べることがほとんどできず、栄養不足でうつ状態になるのもあるとは思いますが、糖質を控えるようにというのは、血糖値の乱降下の影響を防ぐためもあるのでしょう。

 

血糖値の乱降下→ニューロンの栄養不足→うつ状態という図式です。

 

「前向きな気持ちを持つ/その日を充実した気分で過ごす」ために、実際にすぐにでもやるべきことは、脳のニューロンの一つ一つをきちんとエネルギーで満たしてやることかもしれません。

 

糖質に偏らず、極端に糖質を減らすこともなく、何事も適度にして、ブドウ糖とケトン体を脳に送ることが、体も精神状態も良好に保つために大切なことといえそうです。

 

 

『脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命』 佐藤拓己