病気を患っていたり、障害をかかえていたり、病人や障害者の世話をしていたりする、12人が病や障害のなかでどう本に支えられたのかという話。
本は心の支えになってくれます。
『病と障害と、傍らにあった本。』の著者の一人、頭木弘樹さんは
「カフカを読みつづけることを、自分の危機的な時期の支えとした。これは本当にとても支えとなった。カフカがなかったら、どうしていたのだろうと怖いほどだ」(引用)
と語っています。
頭木さんは入院中にドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に夢中になります。
『カラマーゾフの兄弟』は、光文社古典新訳文庫のものだと全5巻まであって、1冊が400ページ以上ある、大変長くて読みにくい小説です。
頭木さんも一度挫折しています。
ところが、入院中に読んでみると面白い。
「あれほど長すぎると思っていた小説が、読み終わるのがさびしいほどだった」(引用)
それほどまでに夢中になったのです。
以前に読んだときは、小説の登場人物たちに共感できなかったのでしょう。
しかし、入院しなければならないような悩みを抱えているときには、読んでみると面白い。
面白く感じられるのは、共感できるからです。
頭木さんはカフカなどを読むうちに悩みを乗り越えていきます。
今の自分の心にひびく本を読めば、心の支えになってくれるし、前を向いて歩いてく力をくれるのです。
私自身も、そのときのその状態にあった本を読んで救われました。
たとえば、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』は親との関係の悩みを少し軽くしてくれました。
私は母親との仲が悪く、いろいろとうっぷんがたまっています。
小さいころにされたことについて、泣いて謝ってほしいと思ってもいました。
しかし、自分が訴えても、母は泣いて謝ってはくれないでしょう。
『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』を読んでそれに気がつき、母との関係について見方が変わりました。
それによって、少しだけ心が軽くなったように思います。
そうはいっても、つらい状態のときに本を読む気はしないもの。
また、読もうと思っても内容を理解できないこともあります。
それでも、本を開いて目を通すことをすすめたいです。
頭木さんも最初は読もうとしても頭に入らなかったのですが、友人が送ってきたダンボール箱いっぱいのマンガに目をとおすうちに、次第に頭に入るようになっていきます。
そして、だんだんと面白く感じられるようにもなっていきました。
ここまでになるまでに箱半分ほど読んでいます。
いきなり『カラマーゾフの兄弟』を読みはじめたのではありません。
『病と障害と、傍らにあった本。』の著者の一人、鈴木大介さんは
「身体のリハビリが麻痺した部分や動作を繰り返し動かすことであるのと同様に、脳の情報処理機能も「不自由になっていることを繰り返し行うこと」でその機能を再獲得していく」(引用)と述べています。
読めるようになりたかったら、とにかく読むことです。
本は心の支えとなり、また共感してくれる存在でもあります。
つらいとき、悩みがあるとき、どうにもならないとき、本を手にとってみませんか。