エビデンスに基づいた除菌クリーニング① | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

先週は名古屋でトイレメンテナンスの90分講習をしました。弊社取引先の展示会のイベントで、出席者は約50名で、朝一の講習でしたので、盛況と言えると思います。


 

さてここの所、除菌清掃の話題を持ちかけられる事が多く、その都度様々な説明を様々な人にしている状況なのですが、今回はそれについて書いていきましょう。
 衛生性を主眼にした清掃はこれからも益々必要性が高まると思われます。清掃作業監督者の講習でも、その必要性が段々強調されてきています。技術を主眼にした清掃方法を「メンテナンス」と言い、それが世界の主流だと言う事をいつも自分の講習では述べていますが、それでは科学的清掃方法である「メンテナンス」としての「衛生清掃」Sanitary Cleaning(サニタリー・クリーニング)や「感染防止清掃」Hospital House Keeping(ホスピタル・ハウス・キーピング)はどうしているのでしょう。
 ここはブログですので、思いつくままに、書いていくことにしましょう。
 病院清掃で行われる衛生清掃にはそもそも大きな歴史の流れがあります。私達メンテナンスサイドから言えば、一番大きな功労者はナイチンゲールです。ナイチンゲールは1854年にクリミア戦争に従軍看護師として派遣されるのですが、衛生清掃を含む衛生処置により敗血症による患者(戦時病院ですので、患者の殆どは怪我での入院です)の致死率を50%(文献によっては40%)から2%に激減させたのです。徹底的な清掃と石炭酸による消毒拭きでした。それまで病院とは、一旦入ると中々出てくる事が難しい場所であったのですが、入ると怪我(その後は病気も同様)を直してくれる素晴らしい場所へと激変させたのです。これにより、病院は衛生的に保つ事が最も重要なのだと言う事が欧米の病院管理の基本になったのです。


 

この時期からすると既に170年経っている事になる訳ですが、その間に環境に対する消毒剤も以下の4種類に集約されていきます。
1.アルデヒド系
2.ハロゲン系
3.フェノール系
4.4級アンモニウム塩系/過酸化水素系
です。
1のアルデヒド系で代表的なのはホルマリンになります。これは現在は人の住む環境での使用は禁止されています。
2のハロゲン系で代表的なのは次亜塩素酸ナトリウムです。非常に強い消毒剤で、漂白効果や金属に対する腐食を起こします。強すぎる事と、金属や什器に腐食・変色を起こす事、分解が速く、エビデンスの取り難い事等があり、通常の使用は世界的に言うとあまり使われる事はありません。但し、新規の病原菌の対応には、強力な事から、現在でもよく使われる事があります。
3のフェノール系で代表的なのはクレゾール石鹸です。かつては環境消毒の主流でしたが、新生児室の使用には不向きである事、排水規制を受ける事等があり、使用がかなり減っています。
現在の主流は4級アンモニウム塩と過酸化水素系です。どちらも非常に安全性が高いのが特徴になっています。お使いになる場合にはこのどちらかが使い易いと思います。
今日はここまでにしたいと思います。