カーペットメンテナンス①「カーペットは三次元」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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今回はカーペットメンテナンスについて書いていきます。日常清掃ではカーペットバキュームは契約形態もありますが、日本のそれ程コストを掛けないオフィス(週1回程度)の場合は全体の20%程度でしょう。バキュームの回数が増えれば、%の比率も大きく上がる事になります。トイレが40-50%程度、バキューム・ごみ処理・その他がそれぞれ20%と言った所で、トイレに続き、大きな比率になっています。因みに外国の場合はバキュームの回数がもっと多い(殆ど毎日)ので、比率はもっと大きくなります。


私の友人の外国人に言わせると「日本は大変素晴らしい!綺麗で、清潔で、列車には落書きもなく、時間通りに来る!」に続けて「カーペットのメンテナンスはだめだね!もっとカーペットメンテナンスを売り込め!」等と言っていました。カーペットメンテナンスの状態は確かに彼らから見ると上手とは言えないのでしょう。
カーペットメンテナンスで私が最初に強調するのは「皆さん、カーペットだけは三次元の世界です!」と言う事です。それ以外の床材は概ね二次元です。フラットなのです。従って、床上のゴミや汚れは空気の流れで、隅に溜りますので、隅の清掃が非常に重要になります。


日本のお掃除で「隅を大切に」と言うのは、畳や板床なので(二次元です)正しいのです。
しかし、カーペットはパイル(毛)が立っていますので、三次元です。汚れは中に入り込みますし、そうすると上からは見えません。また、空気の流れで移動すると言ったことが無いのです。先ず、カーペットの汚れの一番重要なものは土砂になりますが、土砂はカーペットパイル中に入り込むと上からは見えません。従って目で見て判断しようとすると、そこは(汚れが見えないので)清掃しなくてよい事になります。実際には土砂はヤスリと一緒ですので、放置しておけば、その上を人が歩くことで、パイルを削り取って、痛めてしまう事になるのです。汚れが目につかなくても、そこに土砂がある事は確実ですので、そこは必ずバキュームを掛ける必要があり、その事をしっかり認識する事が第一歩です。
また、室内に入り込む土砂の90%は靴の裏から運ばれるというデータがありますので、人が歩く所に土砂がたまるのです。そうすると、バキュームを掛けるのは、人が通る所(path=パス)を中心にバキューム掛けをすべきなのです。通常の床は重歩行度、中歩行度、低歩行度を平面で分けます。入口付近が重歩行度、通路が中歩行度、室内が軽歩行度・・・と言った具合です。しかし、カーペットメンテナンスでは、pathを中心に考えますので、出入り口でも、人が歩かない端の部分は中歩行度や軽歩行度に(場合によって異なります)なるのです。


また、カーペットの特性を覚える為に覚えておいた方が良い性質は「sink=シンク(ゴミ溜め)」です。ゴミ箱が一杯になるとあふれ出しますね。そうすると次のゴミ箱が必要になります。次が一杯になるとまた次が必要に・・・と言った具合で、土砂はたまりすぎると溢れ出して広がって行きます。従って、ゴミ箱はいつも空の状態にしておいてやる(汚れがたまる状態)必要があります。そうでなければ、ゴミは広がって行くからです。
靴の裏の土砂はパイル上の最初の12フィート(3.6m)~15フィート(4.5m)で90%パイル内に落ちると言うデータもあるのです。この為、出入り口にその長さのマットを引いて置き(matting=マッティング)、そのマットにいつもバキュームを掛けて空にしておけば、室内の土砂の汚れは残りの10%だけを管理すればよい事になります。これがあるので、外国ではマットを出入口に引く事(matting)が多いのです。メンテナンスコストやマッティングがあまり好まれない日本ではsink(シンク)の考え方に基づき、出入り口付近の3.6~4.5m辺りまでを丁寧にバキュームを掛けそこをいつも空の状態にしておくことが重要になる訳です。
カーペットは三次元
バキュームはpath(パス=人の歩く動線)を中心に考える
Sink(シンク=ゴミ溜め)の考え方をよく理解し、出入り口から数mの土砂の除去をいつも完璧にする

こうした事を中心にバキューミングを行うべきなのです。