ワックスメンテナンス②
歴史から行きましょう。今の床ワックスは50年以上前、米国「ローム&ハース社」がアルカリに弱いプラスチックを開発した所から始まります。透明なペンキなのですが、通常はペンキと同じような強さを持つのに、アルカリに対しては極端に弱いのです。どこかで聞いたような話ですね。3M社が直ぐに剥がれる糊を発明し、最初は役に立たないと馬鹿にされていたにも拘らず、ポストイットとして大ブレークしました。
同じように、床ワックスとして大ブレークしたのです。それまでの床ワックスはカルナバ蝋で、昔のワックスと同様に蝋(ロウ)だったのです。従って磨くと綺麗にはなるのですが、すぐに光沢が無くなってしまいます。ですので、床の定期清掃は毎週でした。一方、この樹脂ワックスはプラスチック(ペンキ)ですので、持ちが違います。直ぐに毎月(実際には月2回と言う時期もあったのですが)1回に効率化されました。世界を席巻したのです。
床維持剤としてのワックスで重要な事は剥離が出来るかどうかです。床用ですので、どうしても傷みます。傷んだワックスを取り去る事(剥離する事)が簡単かどうかがメンテナンス上非常に重要なのですが、この樹脂ワックスは金属(亜鉛)で架橋をしており、高アルカリでその架橋が崩れる事で剥離作業が簡単なのです。その後様々なメーカーがこの樹脂ワックスに代わるものを開発しましたが、どれも(スパルタン社を含め)上手く行っていません。相変わらず、世界的にはこの樹脂ワックスが使われていますし、これに代わるものは未だに出てきていません(何度も様々な製品が出ましたが、結局はダメでした)。世界のワックスメーカーはローム&ハース社から原料を買い、それを多少工夫してユーザーに売っていたのです。
やがて25年の(だったと思います)特許期間が切れ、今は各メーカーが自分で作れるようになりましたが、基本構造は変わりません。但し、架橋するものが環境対応として、
亜鉛→カルシウム→ポリマー
に代わって来てはいますが・・・
各メーカーが独自に工夫できますので、かなり進歩しています。
写真にあるのは一番奥(右)が環境対応ワックス、真ん中と左はポリマー(プラスチックと思って下さい)の中に光沢増白剤を練り込んであり、可視光線以外にも反応して光沢を上げる工夫がされている(結構進んでいるのです)もので、バフ管理用、一般管理用のものです。
次は構造について述べましょう。