ワックスメンテナンス①最初に | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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ワックス管理

 

最初に

以前このブログに書いたこともありましたが、米国のインストラクターに「メンテナンスで最も難しいのは何だろう?」と尋ねたら、ちょっと考えて「ワックス管理だ、やる事が一杯あるので」と言う答えでした。メンテナンスは突き詰めれば奥の深いものは一杯あるのですが、それでもワックス管理はより奥が深く、難しい(しかもやりがいがある)ものである事には全く異論がありません。

我が日本でこのワックス管理は素晴らしいと思った現場は、この業界に40年以上巣くった私でも、五指に足りません。米国では一流のメンテナンスパーソンであれば、誰でも出来るレベルの管理状態に我が日本では殆ど出会う事がないのです。日本の技術者の腕が悪いというのでは勿論ありませんが、ワックス管理に関する技術差は、知識と教育に問題がある所為であることは確かです。

我が日本でのワックス管理は日常清掃と定期清掃の2種類を繰り返すことが殆どです。即ちワックスを削っては塗り足す事を繰り返し、全体的に汚れてきたら剥離をすると言うパターンです。これでは技術の上がりようがありません。また、このやり方は今の樹脂ワックスが米国から日本に導入された半世紀以上前から殆ど変わっていないのです(今の樹脂ワックスが導入されたのは昭和42年と言われています)。当時も今も現在の樹脂ワックスと基本構造は変わっていませんが、かつてのワックスは1年もすると黄ばみが出てしまいましたので、毎年の剥離清掃(ワックスを全部剥がして塗りなおす事)はやむおえなかったのですが、今のワックスは10年以上黄ばむ事はないので、同じやり方はおかしいのです。10年一日が如くと言いますが、50年一日では技術的に遅れてしまうのはある意味当たり前と言っていいでしょう。

基本となるポリマーとレジンが非常に進化したので、今のキチンとした樹脂ワックスは10年以上は持つのです。イメージでは恐らく我が日本では現代のワックス本来の特性の30%位しか引き出せていないのではないでしょうか。その為にはワックス自体(フィルムと言う言い方をします)をメンテナンスする感性が必要です。ワックス(フィルム)を財産と考え、それを大切に保たせるという感じです。

それにはワックス本来の特性を良く掴むべきです。先ず、しっかりしたフィルム(ワックスの層)を作らなければ、何も始まりません。

日常清掃ではダスティング(土砂の除去)と洗剤による拭き作業が必須です。水ではダメです。最低でもマイクロモップを使いましょう。常識的には自動洗浄機が必要です。毎日使う洗剤もしっかり選びます。

中間清掃が重要ですので、リストレーションについて覚えましょう。リストレーション(光沢復元)の特性をしっかり把握し、実施します。

日本では定期清掃と言うワックス再塗布を少なくする工夫が必要ですし、実施するときにはアルカリ残留を絶対にしない事と完全乾燥を徹底させます。

以上のやりくりで10年維持する方法を模索しましょう。

これが出来れば、大いなる時間短縮とプロ化が可能になると言えるでしょう。一寸時間が掛かりますし、全部書けるか(気力が続くか)なぁ・・・とも思いますが、ワックスの話を進めていきましょう。

最初は歴史からです・・・・・。次回に頁を譲ります。