カーペットメンテナンス・高級品には手を出すな!「メンテナンスグレード」⑦
今回は定期メンテナンスです。
復習ですが、カーペットのメンテナンスグレードには
日常メンテナンス
中間メンテナンス
定期メンテナンス
がありますが、今回は最も重度の清掃である定期メンテナンス、所謂カーペットシャンプーについて述べます。
洗浄方法はポリッシャーを使用して擦り洗いをする「スクラビング」、洗剤をジェット噴射し、すぐにバキュームする「エクストラクション」、両方を行う「スクラッブ&エクストラクション」があります。もっと大掛になれば、車両搭載型トラックマウントなどもあります。
一方、カーペットの種類ですが、最も多いタイルカーペットは裏地のゴムが厚く、パイルが短く、概ね水が使えますので、洗剤も比較的自由に使えます(特殊な例はこの稿では除きます=OAルームのフリーアクセスなどは水が使えません)。また、フェルトを圧着したようなニードルパンチカーペットも水を使いやすいため、これも比較的洗剤を自由に使えます。
問題はタイル状になっていない長尺形状の一枚物を張り合わせた形状の高級なカーペットです。この手のタイプには刺繍型のタフテッドカーペットと機械織のウィルトン・カーペットがあります。この手のカーペットでは先ず、パイル(毛)がウールかどうかを調べる必要があります。オーナーに聞くのが一番確実ですが、出来ない場合は、隅の目立たないところから少し毛を毟り取り、燃やします。毛の焼けるにおいがしたら、ウールです。化繊の場合は臭いが異なり、溶けて黒く固まります。ウールの場合はウール適合洗剤が必要です。ウールセーフのマークがついている洗剤を使用すべきです。
もう一つ問題は基布が天然繊維かどうかです。高級なものは基布が麻です。これを乾燥させて作っているのですが、うっかり水浸しにすると、中から糖分が出てきてしまい、カーペットに砂糖水を撒いたようになってしまい、取り返しがつきません。
即ち、カーペットの定期清掃には相当な技術が必要です。必ずトレーニングをしてから実施するようにしましょう。スクラビングは水を少なく使い、泡を上手く使う必要がありますし、エクストラクションでは泡が出過ぎると、機械が回収した泡だらけになってしまいますので、洗剤も泡の少ない専用の物が必要ですし、スクラビングをした後でのエクストラクションでは消泡剤が欠かせません。
それにもまして、ペルシャンカーペットや段通(中国製カーペット)の様な超高級なものには更なる注意とテクニックが必要になります。この手のものはうっかり素人が手を出すべきでなない事を肝に銘じておきましょう。
カーペットは奥が深いのですが、日常清掃、中間清掃は、日常作業者や監督者は出来なければなりませんが、カーペットシャンプー以上は訓練が必要です。トレーニングさえ積めば難しいものではありませんが、トレーニング無しで実施するのは無謀です。