メンテナンスの初期ルール | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

 

メンテナンスの初期ルール

「メンテナンスの誕生の続き」

さて、高給で雇われたMBA(経営学修士)達が先ず始めたのは現状の調査です。自分達の仕事内容を望見し、それまでの創意工夫や見よう見まねでやっていたお掃除に、科学的な手法を取り入れれば相当な合理化が可能である事をすぐに発見します。そこで合理性・論理性を元に作業を再構築し、実践させ始めたのです。そして、自分達のやっているのはもはや(Floor=床)Cleaning(クリーニング)ではない、合理的・論理的なMaintenance(メンテナンス)であると主張したのです。現在でも少し年配の米国メンテナンス・パーソンがメンテナンスと言う言葉を使うときには、このニュアンスが含まれています。

次に行「人件費に集中する」と言う習慣を定着させました。コストを下げ、クォリティ(品質)を上げる事が経済競争に勝つための王道ですが、メンテナンスの場合は支出の80~90%が人件費かそれに絡む出費になっています。また、構造的に作業者はユニオン(日本の社内労働組合とは少し違います)から来ますので、時給は一定でこれを下げる訳には行きません。従って、コストの削減は作業時間短縮に他ならないのです。作業を効率化し、生産性を上げる事、即ち「人件費に集中する」と言う事です。世界のメンテナンス・パーソンは資器材の選定では価格よりも真っ先に「これによってどの位生産性が上がるのか」を気にします。洗剤を例に上げれば洗剤の価格は支出全体のせいぜい1~3%ですので、ここを半分にしても0.5%~1.5%の削減にしかなりませんが、作業時間を30%削減すれば最大27%の削減という事になるからです。「人件費に集中する(=作業時間削減)」というのがメンテナンスの大きなルールになっています。

もう一つの大きな特徴は、「技術情報をオープンにする」という事です。メンテナンスには様々なメンテナンスがあります。ワックスメンテナンス、カーペットメンテナンス、トイレメンテナンス、壁メンテナンス・・・等です。そして建材も毎年のように様々なものが出現します。米国でも名のある大手のメンテナンス会社でもこれを1社で全て研究開発するのは大変です。また、どのみち人のやる事ですので、1社の人だけが楽をして、その他の作業者が苦労するという事もヒューマン(人間的)ではない、技術情報をオープンにし、運用で戦おうと言う機運が持ち上がり、その通りの世界観が出来たのです。私も最初に仕事で米国に行った時(今から30年程前ですが)に、技術情報がオープンなのには驚きました。

メンテナンスと言うネーミング

「人件費に集中する」

技術情報がオープン

これがメンテナンスの世界です