汚れを取るには
物理的力+化学的力
が必要です。
物理的力は簡単に言えばゴシゴシ擦る事ですが、この方面では機械化や用具の選択が主題になります。
化学的力は洗剤を使用して汚れをストンと落とすことで、洗剤に対する基礎的な理解とその洗剤の特徴を掴み、その特性をうまく引き出す事が重要になって来ます。
機械化の方ですが、今日は自動洗浄機について述べましょう。
日本では欧米ほど自動洗浄機が活用されていませんが、メンテナンス上非常に力を発揮する機械です。
洗剤を流し、パッドで擦り、汚水をバキュームで回収しますが、1台でこの作業を同時にやってのけるのがこの機械の特徴です。15インチ程度の小さいものから人が乗って作業する大きな搭乗型のものまで様々な種類があります。
この機械は少し誤解されている為に、我が日本ではそれほど使われていません。一般的に床に使う機械で代表的なのはポリッシャー(床磨き機)になりますが、自動洗浄機はポリッシャー程洗浄力が強力ではないのです。欧米では清掃業者を雇い仕事をさせるという事は床を洗剤で拭き上げる事と同義語なのです。もともとこの為にこの業界が出来たと言っても過言ではありません。欧米の床は土足なので(我が日本の下足の方が珍しいのです)、床が汚れます。その為、床の掃き拭きは怠る事が出来ません。住宅ならまだしも、人を迎える建物や商業ビル、店舗などでは汚なければ人が入りませんので、掃き拭きを欠かせません。その際に、拭きの作業はかつてはモップで拭いていたのですが、これでは時間も掛りますし、効果も上がらないので、自動洗浄機が使われるようになったのです。従って、自動洗浄機は毎日使うものですから、それ程の力は必要としないのです。パワーがありすぎると却って床材を傷めてしまうのです。一方ポリッシャーは定期的に(例えば毎月)堆積したヒドイ汚れを取る目的で使用されます(厳密には元々は床のワックスの磨き出しに使われたのですが)。重量があり、パワーがあるのが特徴です。
自動洗浄機の洗浄力をポリッシャーと比較して考えてしまうと、物足りないのは明らかです。我が日本では床拭きがそれ程実施されない事から、床洗浄と言うとポリッシャーによる洗浄が頭に浮かび、それとの比較から自動洗浄機の活用があまりされないのです。
しかし、メンテナンスを合理的・効率的に考えるとすると、自動洗浄機は欠かす事の出来ないアイテムです。毎日(或は定期的に)使う事でいつも床を綺麗に保ちます。定期清掃のスケジュールも伸ばす事が可能になるでしょう。定期清掃が入った時だけ床が綺麗で、後はそれほど綺麗な状態ではないというよくあるメンテナンス方法よりもよほど優れています。
自動洗浄機を使用する際にもう一つ重要なポイントは洗剤を使用する事です。これが、我が日本では決定的に欠けています。水洗浄が多いのですが、水では綺麗にならないのはこの稿で何度も強調しています。水では自動洗浄機の力を発揮する事、自動洗浄機の持つ本来の力を出す事は不可能です。適正な洗剤を使用しましょう。もし、洗剤の代金が問題であれば、洗剤の希釈を薄くするのではなしに、正しい希釈で使用し、その他の日に水洗いにした方が良い結果が出ます。
パッド選びが重要ですし、大きさによって標準作業時間が大きく異なる事を理解し、使用しましょう。