創意工夫をするな!メンテナンスの入門
変な話ですが、新人が入ってきたり、メンテナンスを教えて下さいと頼まれて時に時々口にするのがこの言葉です。お掃除は誰でも出来ますし、様々な工夫によって効率化する事が多いので、お掃除をする分には創意工夫が重要なのは言うまでもありません。しかし、メンテナンスをしようと思ったら、最初にするべきことは、メンテナンスについて徹底的に学ぶ姿勢を取る事です。
メンテナンスとは何度もここに書いてきましたが、自然発生的なものでは無しに、40年近く前に米国でMBA(経済修士)達が創り上げた合理的な世界なのです。それまでのお掃除(Cleaning=クリーニング)からメンテナンスの道に大きく移行し、その世界観が非常に優れていた為に世界に広まりました。従って、その考え方を学ぶ必要があるのです。
自分で掃除を創意工夫している内はクリーニングの世界から抜け出す事は出来ません。論理性、合理性を基本とするメンテナンスと見様見真似・創意工夫のお掃除は異なるものなのです。世界的に見ると殆どの素材に対するメンテナンス方法は確立されており、大切なことはその情報をシッカリと取り、実践する事なのです。
メンテナンスは失敗の多い世界であらゆる素材に対し、世界中で様々な創意工夫が起き、その殆どが無駄になります。世界的には何万と言うケースが失敗に終わる事でしょう。しかし、その中からたった一つうまく行く方法が見つかります。そのうまくいった理由付けがされ、それが広まっていき、スタンダードとなるのです。従って、これからメンテナンスを実施しようとするものは、その最先端の方法と理屈を理解すると同時に実践し、スキルを上げていくことが大切です。自分で創意工夫をすれば、何万というケースに陥る確率の方が圧倒的に多いからです。お掃除の創意工夫に慣れてしまうと道を誤ります。
「創意工夫をするな」
最先端のメンテナンスを学び、実践する事でメンテナンスの基礎がしっかり出来上がって行きます。こうなれば、様々な新しい事にトライできることでしょう。
亡くなった中村勘三郎の言葉ですが
「形を持つ人が形を破るのが型破り。形がないのに破れば、形無し」
名言です。