新メンテナンス概論④‐ワックスに寄り道Ⅲ
ワックスを片付けてしまいましょう。
ワックスの基本構造と組成、フィルム形成に付いては述べました。
今日はワックスのメンテナンス方法を述べましょう。
メンテナンスの中でワックスメンテナンスが一番難しいと米国では言われています。やる事がたくさんあるからです。
日常清掃、中間清掃、定期清掃、剥離清掃です。
我が日本では中間清掃がありません。日本での基本的な管理方法は
日常清掃(掃き拭き)
↓
定期清掃(アルカリ洗剤で洗浄後、ワックス再塗布)
↓
剥離清掃(剥離剤でワックスを完全剥離し、ワックス再塗布)
一方ワックスを財産と考え、それを維持管理する事を目指すフィルムメンテナンスでは
日常清掃(マット管理を含むダストコントロール及びマイクロモップまたは自動洗浄機を使用し、ノンリンス洗浄剤による洗浄)
↓
中間清掃(補修清掃=リストレーション、ポリッシャーまたは自動洗浄機に適正洗剤を使用し洗浄後、光沢復元剤を塗布、必要に応じて高速バフ)
↓
定期清掃
↓
剥離清掃
の様になります。定期清掃と剥離清掃は殆ど変りません。扇風機を直接当てない事、アルカリ残留に気を使う事位です。
日常清掃ではダストコントロールが重要です。ワックスを傷つけるのは靴の裏の土砂ですので、それを取り除くことが重要なのです。
マットは適正な土砂マットを敷くと靴の裏の土砂の85%をカットするというデータがあります。この為には3.6mから4.5mが適正と言われており、両足が必ず2度着く長さとされています(外人は背が高いので4.5m必要かもしれませんが、日本では3.6mで良いかもです)。建物の中の土砂は90%が靴によって運ばれると言われていますので
85%×90%=76.5%
の土砂が土砂マットで除去可能になります。我が日本ではあまり活用されていませんが、床面全体を管理するのではなく、3.6m程度のマットのバキュームをシッカリするだけと言うオイシイ管理方法になります。
また、床は土砂の除去の為の管理方法が必要です。自在箒で掃くだけでは土砂の除去は殆ど出来ませんので、ダストモップ等による土砂の除去が必要ですが、今でしたらマイクロモップがお薦めです。
ワックス管理では日常的な床拭きも欠かせません。床拭きをしないと汚れが堆積し、結局ワックスを傷めてしまうのです。ノンリンスの洗剤を使用しましょう。弊社製品でしたら、ハイブリッド万能洗剤のピロキシーかトライベースになります。ワックス管理に限定すれば、トライベースの方が一日の長があります。土砂の除去に強みがあるからです。除菌剤が必要な場合(病院・老人ホーム・食品スーパーなど)は光沢剤配合のDMQがお薦めになります。拭く度に床の光沢が上がる仕組みになっています。
どれもノンリンスですので、出来れば掃き拭き同時のマイクロモップを使用しましょう(床によっては不向きな場所もあります)。
自動洗浄機があれば、それによる洗浄が最も効果があります。トライベースであればパッドは赤の必要はありません。白パッドでOKですので、或る意味バフを掛けながら洗浄するような効果が得られるでしょう。
中間清掃(補修清掃)ではピロキシーやトライベースを使用して床を洗浄し、光沢復元剤「バウンスバック」を1:1希釈で塗布します。必要があればバフを掛けますが、その際は希釈を1:4程度にした方が良いでしょう。
こうする事で
毎月定期清掃、毎年剥離
から
毎月中間清掃 3~6カ月定期清掃 5年剥離
等にする事が可能になります。