新メンテナンス概論④「メンテナンスの考え方」(特にワックス管理) | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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新メンテナンス概論④「メンテナンスの考え方」(特にワックス管理)

前回は初期のルールについて書きました。今日は基本的な考え方について述べていきましょう。

 メンテナンスには様々なものがありますが、それぞれ全く異なります。ワックスメンテナンスとトイレメンテナンスではやり方も洗剤も異なります。しかし、基本的な考え方と考える順番は一緒なのです。
第一に「素材を知る」
第二に「汚れの種類とターゲティング」
第三に「正しいメンテナンス方法を知り、実践する」
です。
第一の「素材を知る」ですが、敵を知り己を知らば百選危うからずですので、ここからスタートするのは当然です。
ワックス管理の場合、ワックスは「剥離可能な水溶性樹脂・金属架橋型」になっていますので、この特性を十分に知る事が必要になります。
先ず、ワックスは硬いアクリル樹脂を使用していますが、あくまでもプラスチックですので、ガラス程固いわけではありません。土砂で簡単に傷がついてしまいます。私達がワックス管理の講習会によくやるパフォーマンスに透明なアクリル板に少し土砂を載せ、脱いだ靴を軽く押し当て数回擦ると、ワックスに酷く傷がつく様をお見せすると言うのがあります。土砂の除去の重要性を知って頂くためのパフォーマンスです。ワックス管理では土砂の除去が重要な事が第一に挙げられます。その為、土砂マットとダストモップの使用が重要になって来ます
もう一つ重要な事はワックスは重ね塗りしますが、その間に何も挟んではいけない事です。これも上記の様にアクリル板を用意し、そこに水性マジックでいたずら書きをします。それは拭くだけで直ぐに取れます。そして、いたずら書きをし、その上に別のアクリル板を重ねます。当たり前ですが、その上からいくら擦ってもいたずら書きを消す事は出来ません。
また、間に何も挟まないと言う事から、ワックス再塗布の際には汚れをシッカリ、完全に落とす事が必要な事、ワックス再塗布の際に汚れを落とすために通常はアルカリ性万能洗剤を使用しますが、アルカリ分をシッカリ・完全に落とす事が非常に重要な事を学びます。なぜかと言うと今の床ワックスは高アルカリによってワックスの金属架橋が崩れて剥離が出来るように設計されていますので、アルカリ残留はワックスの特性を著しく損なうのです。従って、毎月・或は2か月に一度の定期清掃(ワックス再塗布)などで、値段競争が激しくなり、価格が一定水準を下回ると、床をアルカリ性万能洗剤で洗浄した後の水拭きによるアルカリ除去が甘くなります。困ったことにアルカリ残留は目で見ても分かりません。pH表などで図るしかありませんが、そこまで丁寧な事をしている時間が安価では取れません。アルカリが残ったところにワックスを塗ってしまうと、ワックスの完全形成が不可能になり、床が段々黒ずんだり、汚れてきてしまうのです。
ワックス管理では土砂の除去とアルカリ残留注意(汚れをシッカリ落とす事は当然ですが)が「素材を知る」の注意点のスタートになります(ワックスの被膜形成の際のシステムもワックス管理では需要ですがここでは複雑になるのでやめましょう)。
カーペットメンテナンス、トイレメンテナンスも同様に「素材を知る」からのスタートは同じです。