新メンテナンス概論③メンテナンス初期ルール | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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新メンテナンス概論③メンテナンス初期ルール

このテーマでの3つ目です。前回はアメリカ大手メンテナンス会社がMBAを雇って改革を始めた所まででした。続けましょう。
 この業界に飛び込んだMBA(経営学修士)達は、先ず作業者達の仕事ぶりをみて、仕事が前任者からの引継ぎや創意工夫に頼ったものであり、そこにもっと合理性や論理性を持たせるべきだと考えました。そうする事によって相当な簡略化や効率化が可能になると考え、実施して行ったのです。そして、自分達が始めたその活動は既に従来の物「Cleaning(クリーニング)」とは異なったものである事を示すために「Maintenance(メンテナンス)」と名付けました。従って、米国でMaintenanceと言うと大本に論理性を含んだニュアンスになるのです。
二つ目のルールは人件費に集中するという事です。
競争に勝つためにはコストを下げ、品質(Quality)を上げる事が王道である事はいつの時代も変わりませんが、メンテナンス業はコストの大部分、80~90%が人件費とその絡みになっています。通常の場合であれば、コストを下げる場合、様々なコストを分析し、大きなものから削減できないかの検討をするのですが、メンテナンス業は人件費に対する比重が非常に大きく、真っ先にこのポイントを考えざるを得ないのです。細かな事に気を取られ、ここをおろそかにしてしまうのは本末転倒になってしまいます。欧米のメンテナンスパーソンと話をするとこの辺は徹底しており、真っ先に出てくるのは、その製品や洗剤を使用する事での効率性です。よっぽど高価な機械なら別かもしれませんが、彼らが気にするのは商品の値段よりも効率性です。
 これは慣れてしまうと当たり前の話で、通常は洗剤のコストは1~3%くらいのものですし、機械もせいぜい5%程度(機械化の進んだアメリカの話です)でしょう。それぞれを半分にしても、削減分は3~4%程度と言う計算になります(そんな事をしたら作業時間が滅茶苦茶に掛ってしまうでしょうが)。逆に作業効率化の為に洗剤と機械を倍購入したとしても(そんなことは殆ど無いでしょうが)、増えるのはせいぜい6~8%です。
一方、倍と言わずに人件費が30%程度削減されれば、24~27%の削減率になります(一般的に合理的なアメリカンメンテナンスが各国に導入された場合の削減時間は30%以上と言われています)。
 さて人件費の削減方法は作業員に対する賃金を下げる方法と作業時間を削減する方法の2種類ある訳ですが、米国では作業者はUNION(組合)から各会社に派遣されるので、賃金は一緒なのです。A社とB社の時給が違うと言う事はありません。従って、人件費の削減とは作業時間の削減と同義語なのです。作業を効率化する事がコスト削減という事になります。そこに集中するのです。


三つ目のルールは技術情報のオープン化です。
 メンテナンスには様々な種類があります。ワックス、カーペット、石材、木部、トイレ、浴室、壁、ガラス、ステンレス・・・等です。また、各部位に様々な新しい建材が生まれて来ます。こうしたメンテナンスを1社で全て技術開発するのは困難です。また、仮に1社だけ独自に効果的な方法を独占したとしても、同じ人間がする事を特定の人だけ便利になると言うのは人間的(ヒューマン)ではありません。むしろ各社が技術を出し合って、技術を高め、その運用で勝負した方が、効率性も上がりますし、フェアであるとの考え方が定着したのです(インテリは自分のやった事を発表したいと言う気持ちを持ちがちですがその所為も有ったのでしょう)。今から30年以上前に初めてアメリカに行ったのですが、情報がオープンな事には驚きました。
現在も様々な教育資料が溢れています。