※今回のお話は、人物が特定されない為に年齢も時期も全てフェイクで書いてゆきます。過去のお話です。
登場人物
琴美ちゃん・・今回の主人公。30歳のヘアメイクアーティスト。
浩二・・・30代のお笑い芸人で、琴美ちゃんの彼氏。最近売れてきた。
浩二の妻・・浩二の携帯から、琴美ちゃんの他に2名の浮気相手を見つけ、いても経ってもいられない。現在妊娠中。
エイジ・・パンダの20年来の友人。女優・モデルさんを手がけるヘアメイクアーティスト。琴美ちゃんが所属する美容室のオーナー。ヒゲマッチョな男性と猫っぽい女子と観葉植物が好き。
※このブログは様々な女性の人生の一部を、私が本人に変わって書いています。
よろしければ他のシリーズも合わせて、読んでみて下さい。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生
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電話を切って、
エイジが私の肩をポンポンと叩いた。
いやいや、
出てみたらと言ったのはエイジ。
ぶつぶつ言いながら電車に乗る私に
彼は宥めるように言った。
エイジ
「まぁ、隣で聴いてる分には
面白かったけど
浩二の鋼の心も
ここまで来たらもう天晴だよ。」
私
「巻き込まれた方は
たまったもんじゃないけどね。」
エイジ
「まぁでもすごいよ。
あれで女の子が
何人も本気になってるんでしょ。」
私
「・・そうだね。
もしも私が、少しファンだったり
テレビで見ていいなと思う人に
あんな風に強く言われたら
嬉しいって思うのかもしれない。」
◆
3日後
琴美ちゃんが仕事に復帰するのだと
エイジから連絡があった。
私の方は
浩二からの連絡はない。
エイジ
「琴美ちゃんにはもう少し
休んでもいいよって伝えたんだけど
働いている方が
頭が忙しくていいんだって。」
私
「・・それは、そうなのかもね。」
エイジ
「それで、明日仕事の後
話すことになってるからさ
パンダも来てよ。
難しければ電話でもいいけど
あの夜のことも
ちゃんと話さないと。」
私
「それって・・
荒療治にならない?
こんな時に、大丈夫?」
エイジ
「本人が、話したいってよ。」
そしてその翌日
私はエイジと琴美ちゃんと
合流した。
2人の方が、
私の職場近くまで来てくれた。
琴美ちゃん
「パンダさん!!!
ごめんなさい、お騒がせして・・」
駆け寄って来た琴美ちゃんの目が
潤んでいた。
生きていてよかった。
最悪の事態にならなくて
本当によかった。
単純にそう思えて、
こっちまで泣きそうだった。
私
「ほんとだよ。びっくりしたよ。
お騒がせは、エイジだけにして。」
エイジ
「ちょっとなんで急に!(笑)」
私
「とにかく、
なんか美味しいもの食べようか。」
琴美ちゃん
「はい!」
歩き出そうとしたら
琴美ちゃんが私の腕に飛びついて来て
しがみつくように
その腕に頬を寄せる彼女としばらく歩いた。
この子にも親がいて
友達がいて、人生がある。
どうかもうあんなやつのために
傷つかないで。
自分を
傷つけないで。
歩きながら、そう思った。
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