解体の続き。
あの・・このレポート忙しすぎて写真が少ないです。本当に忙しい時の写真は全然撮ってません。ので字ばかりでゴメンよ。
前回の第一鶏舎解体を始めたのが4/15。前後するのだがその数日前にコンテナ(トラックの荷台の倉庫ね)が空いたので事務所の荷物とその隣の工具・農具倉庫を片付けつつ引っ越しの荷物としてコンテナの中にポンポーンと放り込んでいた。それに十日くらいかかった。写真なし。
昨年来チキンの数を減らしたため使用量が少なく4月頭の時点でコンテナの中には飼料米がまだパンパンに詰め込まれていた。予定では引っ越しの荷物をコンテナに積み事務所を解体するのだ。
ウン十万の資産になるので持って行くかどうかも考えたが、次にエサを与える準備ができるまでに虫が湧いたりカビたりとどうせ使えるシロモノじゃなくなるだろう。処分することに。
飼料米は国の助成金を使っているプロジェクト(私がもらうのではなく米農家の収入補助)なのでまずは管轄の農政局に相談してみたが具体的で親切なアドバイスがあるハズもなく(お役人だもの)、埋める・あげる・売るの三択がありそれぞれ書類や立ち合いが必要な旨を伝えられたのみであった。
あろうことか転売を疑っているのかすぐに在庫を見に行くと。
こちらは正々堂々と在庫の処分方法についてわざわざお上に問い合わせまでしているのに転売を疑うとはどういう了見だろうか。さすがに腹が立ったので忙しいから来るなと拒否。問い合わせなどせず全て処分してから知らんかった既に現物なし、とトボケておけば良かった。
気を取り直して。
仕方なく近隣の養鶏農家に片っ端から電話してみたが概ね配合飼料を使っているから要らないとの返事。つまり自分でエサの計算ができないとのこと。ほとんどの養鶏農家は自分でエサの計算ができないから飼料メーカーが成分計算した配合済み飼料をなにも考えずただ与えるのみ。
何億も借金しておっきな工場を建てうず高く積まれた鳥かごにチキンを押し込み定期的にトラックで運ばれるエサをベルトコンベアに載せ、水を自動で与え、温度計やらいろんなセンサーから出て来た数値がグラフに現れてくるのをオペレーター室で見守るだけ。
養鶏農家は飼料メーカー、即ち商社(JAも)の奴隷である。それは畜産だけではなく農業全般においても同様である。
イカン、脱線している。
ともかく電話しまくっているそんな中、隣町のある養鶏家はタダなら貰ってやるという。こちらも購入したものだし、まだ使えるのだから幾らでもいいから買い取って欲しいと食い下がるが無料の一点張りで埒が明かない。屈辱である。昨年夏暑い中契約農家さんが運んできた米をコンテナに積むのを手伝った記憶が甦る。
アチラとしてはエサ代が減りメリットしかないものを一体どうしてタダなら貰ってやるという態度が取れるんだろうか?どうしても売りたいならある養鶏家Fを紹介するという。
数年前に地元のエサ屋・米農家・包材屋など取引業者全ての借金、総額2000万を踏み倒して倒産した元養鶏家Fが再開するからそこなら安けりゃ買うんじゃないか、と。
ああ、あのFと友達ということか。
うちの取引業者も散々な目に合っているからその名を忘れる訳がない。地元に悪名を残したその養鶏家Fは現在クラウドファンディングで400万もの資金を集め来春の再開を目論んでいるらしい。しかもあろうことかローカルテレビにも顔を出し、地元の人に世話になったから復活して恩返しをしたい、とか宣っていた。恩返しの前にまず借金返せよ。
クラウドファンディングで金を集める輩の実像はこんなものだと知った方が良い。厚顔無恥。
私もお客さんからクラウドファンディングで資金を集めて移転再建の費用にしたら、とのアドバイスを頂いたことがある。だがまともな人ならちょっとした返礼品程度で事業資金を集めるなんてできる訳がない。私ならずっと負い目を感じて生きて行くことになるだろう。
事業としてちゃんと収益が見込まれる計画があれば、農業関係なら日本政策金融公庫絡みの無利子の資金が借りられる。その資金さえきちんと返せないようならそれは事業ではなく趣味である。
そもそも件の養鶏家Fはその農業関係の借金すら焦げ付かせて倒産しているのである。税金である。政策金融公庫の審査はザルである。
だが何も知らないクラウドファンディングの出資者たちはダマせる、と踏んだのだろう。移転前に何とも気分が悪くなるニュースであることよ。
さ、また脱線よ。
Fに売ればいいとか、タダなら貰うという言葉が余りに悔しいので最悪の場合は埋めてしまおうと決意し、同業者は諦め異業者である養豚農家に電話しまくることに。四万十市には養豚農家はないが近隣の四万十町は窪川というところに四万十ポークのブランドを作り数件の養豚農家が集まっていた。
事情を丁寧に話し2軒ほど当たるとあそこの養豚農家なら買ってくれると思うと紹介してくれた。どうやら同業者同士の仲が良いようだ。そこに決めた。まともな経営者の方で私が購入した金額の半分程度は出してくれトラックを借りてすぐに引き取りに来た。
これでようやくコンテナがスッキリし、引っ越しの荷物を入れたという次第である。
さて。事務所と隣のゴチャゴチャした倉庫が片付きつつあるので次、第二鶏舎はどうするかな。
第一鶏舎も第二鶏舎も屋根は足場が悪いので波板を剝がすのはユンボで倒してからだな、と考えていた。その前に側面の波板は外さねば・・・。
計画では側面の波板を剥がしておき、二つの鶏舎とも柱をユンボで倒して作業しやすくしてから人力で屋根の波板を剥がそうというものだった、のだが。
こちら包材倉庫もまだ手付かずである。
地元の重機レンタル会社からユンボを借りるのが4/20から。その前に水道関係の設備を撤去すべく第二鶏舎建設時から10年以上友達のように付き合って来た土佐清水の水道屋さん、人のいい原さんに来てもらった。
原さんは昨年末から体調が優れず何度も外科へ行ったが不明で総合病院で検査したらなんと膠原病の可能性が高いとのこと。
膠原病は簡単に言えば自己免疫疾患(自分の免疫細胞が自分の組織を攻撃する)で、代表的な病気がリウマチ。関節のシビレ腫れ痛みこわばり、発熱や全身の疲労感などの症状が出る。ダルくて横になっていたいのをおしてうちの最後の仕事に来てくれた。
お互い50を過ぎると体にガタが出てきますな、と言い残し寂しそうに笑い去って行った。
何故こんないい人に苦しい難病を与えるのか。病気が治りまた再び元気で働けますように。
長くなるので一旦中断。解体するゼヨ2 へ