巻頭作品10首


「遠鳴り」                                 立花開



【連載】


歌のある生活 60代以上の歌詠みのために(2)

「豊かさについて」                           島田修三



作品7首


「虹の残像」                               青木春枝



歌集歌書を読む                            今井恵子



第51回短歌研究賞発表



橋本喜典 「わが歌」31首



受賞後第一回作品  「初蝶は」50首




第58回短歌研究新人賞発表


候補作

北山あさひ 「風家族」

まひる野の前編集人である橋本喜典先生が第51回短歌研究賞を受賞しました。


対象作品は「角川短歌」平成26年8月号に発表された「わが歌」31首です。


9月18日、千代田区一ツ橋如水会館にて表彰式が行われました。







短歌研究賞は、短歌研究新人賞と現代短歌評論賞と併せて表彰されました。


篠弘代表は現代短歌評論賞の選考委員です。





新人賞と評論賞はともに二十代前半の若い歌人の受賞となりました。






客席からは「水戸黄門」のようだという囁きが漏れましたが、いかがでしょうか。

みなさん晴れやかです。



受賞の言葉にて橋本喜典さんは、自分の作歌の目指すところを



明晰であること


清韻であること


生命力があること



と述べられました。心したいと思います。


本当におめでとうございます。




更新が遅くなっております。


8月22日・23日、第62回まひる野全国大会が行われました。




大会一日目では

運営費の収支報告、

この一年の会員の活動報告、

物故者への黙祷、

まひる野賞の講評と表彰、

篠弘代表による講演、

パネルディスカッション、

懇親会


が行われました。

今年のまひる野賞は小瀬川喜井さん「陽の当たる椅子」が受賞されました。

おめでとうございます。





懇親会には橋本喜典さんもお越しになられ、皆で和やかに親交を深めあいました。







二日目は歌会です。

一人1首ずつ提出し、事前に5首選をした詠草を講評者が批評します。


最多得票歌、意欲作、優秀歌は総合歌会にまわり、講評者以外にも会場から意見を募ります。




今年も盛会のうちに無事大会を開くことができました。

また来年お会いしましょう。




【特集 思い出の歌人  エピソードや作品】


土岐善麿             篠 弘



【作品13首】


杖突峠              柴田典昭



【創刊2周年作品特集】


〈作品10首〉


手仕事                    橋本喜典



〈作品13首〉


そらまめ                   島田修三



【特集 2015年夏 今歌人として考えること】


「中途半端な田舎」にて          今井恵子


【作品20首】


盂蘭盆会の頃                大下一真



【特別企画】戦後七十年、私の八月十五日


不忠者の慟哭                 橋本喜典



【連載】


戦争と歌人たち㉒               篠 弘



【作品評】


春日真木子歌集『水の夢』評        三浦槇子


岡部隆志評論集『短歌の可能性』評    今井恵子



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まひる野賞が発表になりました!

小瀬川喜井さんおめでとうございます!

     次席は伊藤恵美子さんです。


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第60回まひる野賞受賞作品


陽の当たる椅子       小瀬川喜井    


   次席  夏の森          伊藤恵美子



受賞のことば


受賞作品選後評



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【作品】


作品Ⅰ


まひる野集


マチエール


十八人集


作品Ⅱ


八月集


作品Ⅲ




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【特集 時代を映す歌】


〈時代〉の外に出ること                 柴田典昭


母によって、させられている人生を         倉田政美


刻まれる感情                      山川 藍



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最近の諸誌から探る                      篠 弘


同時代見聞録(5) 被災地の今―気仙沼より―      広野加奈子


空穂歳時録(21) 八月陸奥の空穂             大下一真


紹介 片倉爽園著『栄光のわが製糸群』          ME



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コラム まひる野今昔物語(5)                 編集室


空穂会の報告                          О


【作品批評】


Ⅰ評                                矢澤保


Ⅱ評                                寺田陽子


Ⅲ評                                広坂早苗


合評                                智月テレサ/橋本喜典


時評                                後藤由紀恵








マチエール

声ばかり母に似てゆく夏の夜に古きアルバムひらきておりぬ     後藤由紀恵



冷蔵庫最上段に霧雨をひとつしまってゆうべ米とぐ         富田睦子



爪切りの中からいつの爪だろうこぼれて床に消えてしまって     染野太朗



円陣のたわむところがわたくしの立ち位置なればそこを動かず    佐藤華保理



今ならば治る病気で逝きし父まひるまの月はあの日と同じ      木部海帆



まだ他人に結婚しろとか言える人すごいと思うタイムマシンだ    山川 藍



たてがみを風の形に靡かせて夜明けに向かう馬になりたし      宮田知子



悲しみはすべてわたしが吸いこんでいるはずだったが子も吸っていた 小瀬川喜井



歯を磨くには鏡はいらずそのうめき意味はなけれど本音なるべし   加藤陽平



平和とはお金を払って成績が上がり笑顔で塾を去ること       倉田政美



とんでもないことで御座います伊藤様神様として蔑んでいます    荒川 梢



家族葬いいですよねと言いながらメールを二十一通消した      北山あさひ



祖母(おおはは)の襁褓(むつき)の中に手をあてる君の指先われは忘れず 大谷宥秀



志望動機(家から近い)履歴書で微笑んでいるわたしが怖い      小原 和



あんなにも遊びたがったエレベーターホールに今はお骨となりて  伊藤いずみ








作品Ⅱ(人集)



ジャングルの小道のなかに光さし帰らぬ兵の気配を感ず       木本あきら



たんぽぽに紋白蝶が来てとまり教科書の絵のような日盛り      宇佐美玲子



手術をへ遅き昼餉をとる医師ら藍のオペ着を纏いしままに      上野幸子



さみしさをにれかむような春愁をめぐらせふとる桜の幹は      伊藤恵美子



「どうだった」と背番号3に声掛けるみな小走りに去りゆく夕べ   矢澤 保



通学の服装のままの姪の子にこれから学校それとも帰り       (故)本間ミサホ







作品Ⅲ(月集)


帰らざる訳でもなきに家裏の柿栗けやきの若葉に見入る       里見絹江



畑起こし一息入れんと立ったまま飲むや渋茶のまことに旨し     上野昭男



サラ金の店舗の路地は仏具屋と墓石の店が並んでいたり       山家 節



今はただ甘蔗畑の広ごりぬ父の名しるす碑のまへに立つ       宝永冨美江



中空にたれ下がりをる蜘蛛の子が逆さのままに風に吹かるる     川口六朗



「子の貧困」「女の貧困」文字踊る吊り広告を眺め揺られる     福留義孝

作品Ⅰ


玉砕も散華もいまだわが裡にいくさのかげを曳きずる言葉      橋本喜典


津波跡見てもどりくる駅前にどつと並べるくれなゐのタン      篠 弘


いかように教えたのだったか教室で小林秀雄の「無常ということ」  小林峯夫


来て知りし嬉しきひとつ白蓮の晩年の書ののびのびとせり      大下一真


紫陽花の花の重たきかたまりや宵かたまけて群童のごとし      島田修三


「戦争を知らぬ」輩となる気分バドワイザーをハノイにて飲む    柳 宣宏


焼香の客に頭を下ぐるたびみしみしと首のあたりが鳴れり      中根 誠


のろのろとゆく教習車に苛立てる我はも時間(とき)に流さるる人   柴田典昭


テーブルを父がペンキで白く塗り敗戦国日本に核家族なりき     今井恵子


蝋燭にマッチが似合いライターの火よりも温かく炎を上ぐる     すずきいさむ


残り世の楽しみひとつ一人わが仮想してをり離婚の案件       大野景子




まひる野集


ルフランの回廊飾る卯の花は卯の花腐(くた)す光を落とす      加藤孝男


鋤を引くことしか知らぬ村の馬名をつけられて戦に征きし      市川正子


まつはれる児らを躱(かは)せる気遣いの脚さばきゆかし母ライオンは 寺田陽子


寄り合える親族とも見ゆ一本の枝に小粒の枇杷かたまりて      滝田倫子


襟立てて干すブラウス揺れをりて拳ほどなる胸のふくらみ      竹谷ひろこ


衛星のまなこは映す媼(はは)の作る円形花壇の規矩の正しさ     麻生由美


光あれば見えぬものあり死に近きひとのこころと昼の銀河と     升田隆雄


家畜らと蚕養ふときのまの思春期にひきこもる一間(ひとま)のあらず 小野昌子


囀りの多く聞こゆるこの春と思へば夫も顔あげて言ふ        久我久美子