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三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

暗黒の1970年代で若者が抱える焦燥感と夢を追う姿を描いた物語。
「馬鹿」シリーズの第1作になるらしい。

哲学科の大学2年生キム・ビョンテ(ユン・ムンソプ)と親友のカン・ヨンチョル(ハ・ジェヨン)は、合コンで女子大生のオ・ヨンジャ(イ・ヨンオク)とスンジャ(キム・ヨンスク)に出会う。

ヨンジャに一目惚れしたビョンテは、不器用ながらも必死にアクションするが、軽くいなされる。

一方のヨンチョルは、時代の閉塞感に抗うように、クジラを捕まえるという漠然とした夢を抱きながらも、精神的に追い詰められていく。

 

 


 

 

オープニングからしてビョンテとヨンチョルが、世間知らずのただのバカな大学生に見える。

しかし1970年代の軍事政権下での、長髪取締りや検閲といった国家による理不尽な抑圧に息苦しさを抱えながら、酒と恋、そして将来への漠然とした不安と夢の狭間で、「なんとかなるかも」という空気感を抱えながら迷走する大学生たちの、生身の焦燥感と哀しいプライドが伝わってくる。

だから前半で、なんでコイツらはやることがこんなにハチャメチャで、空回りしながら彷徨わなければならなかったのか。
その中で人間の尊厳みたいなものを描いてるんだが、その答えがラストにあるのなら、言葉にならない。

「鯨狩り」とは、この時代の若者が抱いた「現実に抗い、夢を追いかける」というもの。
ペ・チャンホ監督、アン・ソンギ主演の『鯨とり コレサニャン』も同じテーマで作られた作品。

ラストの意表を突く断崖ハイジャンプには驚いた。
自由がない、そして軍隊に行かなければならない若者の心情ってこんなもんだったのかと思うと、悲憐というか、同情してしまう。

そして両作で挿入歌になってるのが、シンガーソングライター、ソン・チャンシクの代表曲「鯨狩り」。
 

 

 

 


鯨は夢そのもので、主体的に自分の意志で夢を追い求めるというものなんだが、哀愁漂うメロディーに乗る歌詞がどこかアンバランスで、このアンバランス感が曲の魅力だと思う。

この曲が本作の魂でありメインテーマになっていて、観終わったらこの曲が頭から離れない。

♬歌詞
술 마시고 노래하고 춤을 춰봐도
가슴에는 하나 가득 슬픔 뿐이네
무엇을 할 것인가 둘러보아도
보이는 건 모두가 돌아 앉았네
떠나자 동해바다로
삼등삼등 완행열차 기차를 타고

♬意訳
酒を飲み 歌い 踊ってみても
胸の中には 悲しみばかりが満ちている
何をすべきかと 見回してみても
見えるものは誰もが 背を向けて座っているばかり
さあ 旅立とう 東の海(東海)へ
三等列車の 各駅停車に揺られながら


ヨンチョルのハイジャンプで流れるこの曲のサビの部分「자 떠나자 동해바다로(さあ 旅立とう 東の海へ)」が背中を押してるようにも見えるし、「それしかなかったんか?」とも映る。

YouTube動画なので、日本語字幕もちょっとアレやけど、1:17あたりからラストを見るだけでもいいと思う。

 

 

『馬鹿たちの行進』