猫を絡めた、妻を亡くした男と訳ありの女がそれぞれの人生を再生していく物語。
いい風に言えば新進気鋭の女性監督のデビュー作だが、映画として見た素直な感想としては、思いが先行し、演出が追いついてない、映画作品としては全体的に起伏がない静かなB級映画。
挿絵画家の妻チョン・スジョン(パク・モヨン)を事故で亡くした童話作家のチョ・ヨンヒ(オ・ドンミン)は、彼女の死を受け入れず、彼女の死を受け入れられず、作業室にすら入れず放置していたが、ある日そこから子猫が現れる。
雨漏りもすることから、近所で工房を営む大工のハ・ロオン(リュ・アベル)に修理を依頼する。
彼女は部屋に迷い込んだ子猫ボンジュを見て、かつて自分が失った猫を思い出し、この部屋を猫専用の部屋に模様替えしようと提案する。
猫を再生装置として、幼い娘チョ・ジェイン(シン・スア)も巻き込み、お互いが閉ざしていた心の扉を開き、人生の温かさを取り戻していく。
前半はシーンのつながりのマが悪く、ストーリーがカクカクした感じになり、見ていて白けてしまう。
後半になると理由は何となく分かるが、ハ・ロオン役のリュ・アベルの演技がオーバーでこちらも入ってこない。
そのため、前半の条件設定がぎこちなく進み、散らかったまま後半に突入することで、猪突感が否めない。
ヨンヒの話は丁寧に描いてるので理解できるが、ロオンの心の傷の原因に関しては中途半端で、解釈の幅が広すぎる。
こちらも同じ様に、しっかり描いたら良かったのに、この曖昧さが最後まで尾を引く。
だからロオンが「ヨンヒの笑顔ため」というけど、これも微妙。
どうせなら彼女の夫スンテが事故の真犯人(そんな感じもしたが)にして、振り切っても良かったのではないかな?
扱いが中途半端でもったいない。
まぁ、そうすると違う映画になってしまうので、女性監督らしい作風といえば、そうかも。
描きたいのはそこじゃないからね。
唯一、ジェインを演じたシン・スアは爛漫で思わず笑顔になり、ハンビョル(シン・ミンソ)とのコンビも良かった。
この2人が本作のMVP。
