腐れ女のゴミっぷりと優柔不断な男の打算、そして飼いならされた女による、下剋上の切った張ったを描いたサスペンス・スリラー。
2011年に公開されたアンドレス・バイズ監督のコロンビア映画『The Hidden Face(隠された顔)』のリメイク作品。
オケの団長(パク・チヨン)の娘シン・スヨン(チョ・ヨジョン)と結婚した指揮者のソンジン(ソン・スンホン)は、露骨に「誰のお陰で今がある」と元気いっぱいスヨンに罵られる日々。
ある日、スヨンはビデオレターを残して忽然と姿を消す。
演奏会を控えた楽団は、チェロ奏者だったスヨンが姿を消したことで、代役としてスヨンの後輩キム・ミジュ(パク・チヒョン)を選ぶ。
ソンジンはミジュが自分の好みのシューベルトの楽曲で応募してきたことから気になり、雨が降る夜に彼の家でミンジュと出来上がってしまう。
この家には、かつて731部隊で使用されていたという密室が残されていて、ミンジュとスヨンはこの部屋で出来上がってしまった過去がある。
一方、母である団長と事務長(パク・ソングン)は、スヨンに出国記録もなく、カード使用の記録もないことから、ソンジンとミジュを試すような行動に出る。
ストーリーは終盤から一気に加速し、想像の斜め上を行く二転三転する展開で、ラストは明後日の方向に飛んでったって感じ。
とにかく、スヨンの傲慢さの頂点からどん底へ転落していく惨めさを、チョ・ヨジョンが見事に演じていて、同情の余地もないキレっぷり。
優柔不断だがここ一番で打算的なソンジンも、ソン・スンホンにぴったりで、小物感が半端ない適役。
この2人に加え、ミジュを演じるパク・チヒョンが、チョ・ヨジョンに負けず劣らずの落差を体現してて、怒涛の後半は予測不可能な展開にやられっぱなし。
ただ、母親役のパク・チヨンが「このまま終わるわけ無いやろ」、と期待したけど、ここはもう一つ欲しかったかな。
とにかく、薄気味悪いほどの欲望と支配と秘密が目まぐるしく入れ替わるスピード感ある展開を、ダブル女優が引っ張り、小心者の男優がクーリングする感じの面白いサスペンスでした。

