炭坑夫たちの労働争議を描いた映画。
炭鉱労働者と資本家の対立という構図は万国共通で、今では労働者側が「アカ」と呼ばれることもあるが、その原点を描いたような作品。
7人家族を支えるトゥッサン・マユ(ジェラール・ドパルデュー)は親の代から炭鉱で働く炭鉱夫で、身を削るように働いても家族の暮らしぶりは一向に良くならない。
そんな炭鉱にやってきたエチエンヌ・ランチェ(ルノー)は、マルクス主義に目覚め、労働者たちを率いて資本家に対してストライキを主導していく。
トゥッサンの娘カトリーヌ(ジュディット・アンリ)も炭鉱労働に駆り出されていて、エチエンヌに密かに惹かれながらも、シャバル(ジャン=ロジェ・ミロ)とのドロドロとした関係に翻弄されていく。
娘のカトリーヌが家を出てシャバルと暮らし始めたことで、母親のマウード(ミュウ=ミュウ)は、カトリーヌを裏切り者だと責め、親子の縁を切ると言い出す。
そんな中、子煩悩なマユはエチエンヌの理想に共鳴し、大家族の飢えと自身のプライドを懸けて労働闘争へと身を投じていく。
何がひどいかというと、炭鉱夫たちは自分たちの命を守るために坑道へ支柱を打つのに、その費用は炭鉱夫持ち。
しかも、支柱を打つ作業に費やした分まで報酬から差し引かれる。
炭鉱の経営者や投資家たちは贅沢な暮らしをしているけど、炭鉱夫を人間とみなしていない。
それどころか、労働者がストに突入すると、軍隊を要請して現場を押さえ、不足した労働力をベルギー人労働者で補おうとする。
これってワールドワイドな話で、日本でも朝鮮人や中国人が労働力として動員されたことが『青春の門』で描かれてる。
当初は、労働争議にのめり込んでいく夫をどこか冷ややかに見ていたマウードも、次第に闘争へとのめり込んでいく。
女たちは「パンをよこせ」と叫びながら、食料品店主のメグラ(ジェラール・クロシュ)の店に集まる。
彼女らにとっては、何よりも家族に食べさせることが最優先で、男たちとはどこか違う、切羽詰まった緊張感があった。
エチエンヌやマユは、労働条件や尊厳、理想のために闘う。
それに対してマウードたちは、今日のパンがなければ家族が飢えるという現実に追いつめられ闘ってる。
この違いは大きい。
そして、ストライキのさなか、店を襲撃し、メグラを取り囲んで仕返しする女たちを目の当たりにしたエチエンヌとトゥッサン。
二人の「そこまでするか?」と言わんばかりの表情が、女たちの追い詰められた姿を強烈に浮き彫りにしてる。
結局ストは失敗に終わり、エチエンヌが炭鉱へ戻っていくやるせなさ。
しかし、最後まで戦うと言っていたマウードも、結局は事故でカトリーヌを失い、家族を養うために彼女も炭鉱で働くことになる。
観ていてまったく救いがない。
特に、投資家たちの贅沢な暮らしぶりとの対比がえげつない。
でも、こういう映画を観ていると、フランスで労働者のデモやストライキが繰り返されてきた背景も、なんとなく分かるような気がする。
主役のジェラール・ドパルデューを最近観たのは『あるいは裏切りという名の犬』だったので、改めてその芸の幅の広さに感心させられた。
ホントに良い役者やと思う。

