妻を捨てて新しい女に乗り換えようとしたけど、ただの妄想だったという話。
娘マチルダ(ヒバ・アフメド)が、子役として映画に大抜擢されたことで大喜びするベン(シャザド・ラティフ)とアネット(デイジー・リドリー)。
しかしアネットは保護者としてマチルダに付き添うことができず、代わりにベンがマチルダのステージパパとして撮影現場に向かう。
撮影現場でベンは、母親役の女優アリシア(マチルダ・ルッツ)と会い、彼女はベンが書いた本を読み、ファンだという。
ベンもアリシアのファンだといい、彼女に惹かれてしまう。
一方、アネットは復職を考えているが思うようにいかず、精神的に追い詰められていく。
そして、アネットはベンの変化に気づき、彼の浮気を疑うようになる。
ここ一番で赤ちゃんのルーカスが泣き出す。
サスペンス調でシリアスなシーンでは、赤ちゃんの泣き声が最高の効果音として使われていて、観ていてルーカスが気になる。
アリシアが「あなたのファン」と言ったのはただの社交辞令のような気もするが、やはりどこか怪しい。
アネットも、アリシアがベンの本を読むのはおかしいと、妙な空気に気づく。
ベンがアリシアにファンだと言ったのは、彼女の流出した動画を見ていて、人間としてのアリシアではなく、映像の中のアリシアに惹かれていたからで、言ってみれば下心ミエミエ。
そしてベンが寝静まり、彼のパソコンを見たアネットは早々にターゲットを特定する。
無防備なベンが盛りのついた中学生みたいで、緊張感ゼロ。
これがサディスティックにも見えるアネットとの対比になり、段々とホラーな雰囲気になっていく。
ベンはアネットからすると「袋のネズミ」で、初めから逃げ場なんかないんだが、追い詰めていくアネットの表情はサイコそのもの。
これは復職が思うようにいかない焦りというより、浮気を追及することそのものが、彼女にとっての逃げ場になってたと思う。
そして最後は主導権を取り戻す。
にもかかわらずベンはアネットを単純な鬱か何かだと思い込み、無防備のまま浮気ライフを謳歌する。
ところがアネットがパソコンを見るあたりから、力関係が完全に逆転する。
ベン本人は、「もしかしてアリシア、俺に気がある?」「俺もまだイケるんちゃう?」みたいな世界にいるのに、アネットからすると、「全部知ってまっけど?」になる。
面白いのが、自分がアネットの手のひらに乗ってるということに、ベンはまったく気づいてない。
それどころか、パパラッチに撮られたのか、ネットニュースにも「謎の男」としてデビューしてしまい、アネットはこれがベンだとすぐに気づく。
にもかかわらず、ラストはとんでもない「それを言っちゃあ、おしめぇよ」と、自分から燃え盛る炎めがけてハイジャンプして終わる。
観てて思ったのは、つくづく男は単純で、女が本気で怒ったら太刀打ちできない。
そう思うとベンが気の毒というより可愛く見えて、ラストのハイジャンプがコメディーにも見えた。
