『マイウェイ/12,000キロの真実』 | 三匹の忠臣蔵

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第二次世界大戦、12,000kmもの長い戦禍を生き抜いた青年の数奇な運命を描いた物語。

日本の植民地下にあった朝鮮・京城。

物語は1928年からはじまる。
大日本帝国の軍人・長谷川(夏八木勲)の孫・辰雄(オダギリジョー)と使用人(チョン・ホジン)の息子キム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)は幼い頃からマラソンのライバルとして切磋琢磨する。

しかし、爆弾により祖父が亡くなったことで辰雄はジュンシクと袂を分かつことになり、その後も「朝鮮人に祖父を殺された」という憎しみに執着するようになる。

その後もマラソン大会では顔を合わせることになるが、日本側は大会から朝鮮人を排除しようとする。

ところが、ソン・ギジョンの取り計らいで、二人はオリンピック選抜戦に出場することになる。

しかし、この大会の判定を巡って民衆が激昂し、暴動に発展する。

これがきっかけでジュンシクは日本軍に強制徴兵され、天皇陛下に忠誠を誓わされ、戦場へと送られることになる。

ノモンハン事件に日本軍として出征したジュンシクは、ここで日本軍大佐になった辰雄と再会をすることになる。
彼は、名誉ある死を与えられたことへの感謝を切腹で示した高倉(鶴見辰吾)とは真逆の帝国軍人になっていた。

その後、二人はソ連の捕虜となり、やがてドイツ軍に組み込まれ、最後はノルマンディー上陸作戦でアメリカ軍と遭遇するという、1万2000キロの長い旅に出る。

 

 


 

 

冒頭、1948年7月、ロンドンオリンピックにジュンシクの名前が出てくるが、時系列に「え?」となる。

しかし、このシーンはラストで回収され、よく考えられた脚本だと思う。

とはいえ、モデルになったとされる人物の写真はあったらしいが、本作も「実話」というより「実話にインスパイアされた物語」と考えた方がしっくりくる。

だから初めて観た時は、あまりハマらんかった。

それでも、今をときめく「国家総動員法」、「この朝鮮人が!」を連発する山本太郎。

そして、生きていくためとはいえ変わり身が早いイ・ジョンデ(キム・イングォン)を見てると、戦争の悲惨さと理不尽さはしっかり描いてる。

この狂気の時代において、辰雄の父(佐野史郎)と高倉をバランサーとして置くことで、辰雄の執着が引き立つ。
これが最後のシーンに繋がっていくわけで、うまくまとめてると思う。

ジュンシクが予選大会に出られるように動いたソン・ギジョン(孫基禎)は、1936年8月のベルリンオリンピックに日本代表として出場し、金メダルを獲得する。

その後、『東亜日報』が表彰台に立つ孫基禎の写真から胸の日の丸を消して掲載した「日章旗抹消事件」は、今も有名な出来事として語り継がれてる。
『東亜日報』はこの写真の掲載を問題視され、朝鮮総督府によって記者らが逮捕され、発行停止処分を受けることになる。

だから史実との時系列を考えると、孫基禎とキム・ジュンシクを同じ物語に詰め込むのは、少し無理があったような気がする。

それでも、多くのエキストラが出演した戦場シーンは迫力があり、よく撮れてるとは思う。

そして、日本人として戦場に駆り出されたキム・ジュンシクのような朝鮮人たちも、戦後は日本国籍を一方的に剥奪され、さらに恩給から弾かれる。


サラっと描いてるが、「朝鮮人なのに日本国民に → だから皇民として戦場へ → それが戦後は朝鮮人 → だから軍人恩給や援護法による遺族年金からはじかれる → にもかかわらず靖国合祀」という植民地支配と戦後処理という大きな歴史があると思う。

個人的には地味だが、スナイパーのシュライ(ファン・ビンビン)は存在感があったと思うし、イ・ヨニはやっぱり可愛いな。

チャン・ドンゴンとオダギリジョーは、アクションの体感に大きな差があり、動のチャン・ドンゴンに対して、静のオダギリジョーといった感じがした。

2011年制作の作品だが、カネもかかってて、やたらと出てくる「天皇陛下バンザイ」や、史実との細かいズレを気にしなかったら、楽しめると思う。

 

映画『マイウェイ』のドイツ兵たち