ストーリーより、カーアクションとマックィーンを味わう映画。
金を横領し、ヒットマンから狙われたために司法取引に応じたロス(ヴィック・テイバック)。
これを好機と捉えた上院議員ウォルター・チャルマース(ロバート・ヴォーン)は、マフィアを潰すための証人として、警部補フランク・ブリット(スティーヴ・マックィーン)に護衛を命じる。
しかし、チャルマースから聞かされたホテルでロスは何者かに襲撃され、病院に運ばれるが治療の甲斐もなく命を落とす。
ロスの死に不審な点を感じたブリットは、その事実を伏せたまま、独自捜査を始めるという話。
我らの時代は何と言ってもマックィーン。
今ではCGやVFXによる描写と音響効果による演出が当たり前だが、本作は生の映像に生の音。
カーブで路面を擦るタイヤ音と、ギアを変えたときのエンジン音の変化がリアルで、「ゴー、ボンボン」というマフラー音が心地良い。
カーブを曲がりきれずに「当たってるやん」というシーンもあり、とてもリアルなんだが、マックィーン自身もハンドルを握っているから生唾を飲んで見入ってしまう。
BGMや派手な効果音もない生の音が迫ってくる感覚が、「映画館で観たかった」という思いに変わる。
本作のカーチェイスって、今観れば編集や撮影技術そのものは当然古い。でも、古いから迫力がないどころか、物理現象そのものが画面に映っている怖さがあり、今の「すごい音を作りました!」とはぜんぜん違う。
そして、自身の野心を燃やす傲慢な上院議員ウォルター・チャルマースを演じるロバート・ヴォーンと言えば「荒野の七人」。
あのクールな賞金稼ぎが夢にうなされ、最後は壁をなめるように崩れ落ちて死んでいくシーンは今も覚えてる。
それが本作では傲慢そのもので、ロスの暗殺に絡んでるようにも見えた。
結局、ロス(ヴィック・テイバック)の身代わりで死んだのは、200万ドルで雇われたレニック(フェリス・オルランディ)だったわけで、何故ドアの鍵を開けてたのかなど、ここに至る経緯が曖昧だが、そんなことはどうでもいい。
カーチェイスも、「何でそこから追いつくねん?」。
ラストの空港でも「追いかけんと何してんねん」「それで追いつくんか?」「人が多い空港ロビーで、よくロスを見つけられるな?」という不思議さは、まっ!たく感じなかった。
サンフランシスコの坂道を飛び跳ねるマスタングとマックィーン。
とにかくマックィーンファンにはたまらない、そんな映画です。
