『パッセンジャー』 | 三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

宇宙船の誤作動で90年早く目覚めた男が、孤独に耐えきれず、一人の女性を道連れにしてしまうSFラブロマンス。
今回も ネタバレありになってます。


地球からの移住を決断したジム・プレストン(クリス・プラット)は、アヴァロン号に乗船し5000名の移住者と250名のクルーと共に、移住先のホームステッド2を目指して航行していたが、隕石群を通過した際に「REPAIRING(自動修理中)」の文字が踊りはじめる。
その下には「FUSION REACTOR(核融合炉)」も一緒に踊ってる。

本来は目的地に到着する90年前に目覚めるはずだったが、出発30年目に覚めてしまったジムは一人冬眠ポッドで目を覚ます。

1年間ものあいだ一人で孤独に耐えかねたジムは、完全に自分勝手なエゴで、好みの女性オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)を冬眠ポッドから起こしてしまう。

最初はうまくいっていた二人だが、オーロラは自分が機械のトラブルではなく、ジムのエゴによって起こされた事実を知り、人生を奪われたと怒り心頭する。

当然、二人は激しく仲違いし、ジムは罪の意識からオーロラに申し訳なく思って苦悩する。

そんなある日、二人の前にもう一人の生身の人間、宇宙船の甲板長ガス・マンキューゾ(ローレンス・フィッシュバーン)も不具合で目が覚めて3人になるが、船自体に重大なトラブルがあることが発覚する。
修理を試みるもガスが命を落とし、またもや二人きりに戻ってしまう。

甲板長のコードを使い、宇宙船の爆発という究極の危機を前にしながら、二人は決死の修理を始めるが、究極の選択を迫られることになる。

 

 


 

 

映画『タイタニック』の様な感動ラブロマンスにするには無理があるというか、中途半端な感じがする。
突然目覚め狼狽するオーロラをなだめ、距離を詰めていくジムは後ろめたさがある。

これはいいとして、彼のエゴで起こされたことを知って、仲が悪くなり、今度は生死を共にする“運命共同体”になっていく目まぐるしい展開をどれも均等に描いてて、もっと感情の変化に強弱をつければ、ドラマとしてのリズムが出たと思う。

それでも、素人がいきなり宇宙船を修理できてしまうのもリアルさに欠ける。
機械修理の概念が昭和と今が違うように、未来はもっと進化してるかもしれないと言われると返す言葉はないけど。

核融合炉の熱を逃がそうとするが外部ハッチが閉まらず、ジムが宇宙空間に出て大怪我を負うが、オーロラの必死の救助により船内に戻る。

一旦は心肺停止になるものの、オーロラの執念の蘇生処置でジムは奇跡的に蘇り、一命を取り留める。

その後、医療カプセルを使えば「一人だけなら再び冬眠できる」と判明。
ジムは彼女を冬眠させて自分は”孤独の犠牲になる選択”をして、彼女は未来を選ぶ。

映画は美しいラブストーリーのように着地するが、これは生き残るための極限状態が生んだ「究極の選択」であって、本当の「愛」とまでは言えない気がする。

監督は“感動ラブロマンス”に持っていこうとしてるけど、むしろ構図としてはストックホルム症候群に近い。
ジムは恋愛映画の主人公というより、オーロラの人生を奪った「加害者」でもある。
結局、現実は宇宙船が壊れるという吊り橋効果があったから、一緒にいただけと思う。

そもそも、あれだけ激しく怒っていたオーロラが、あんな短期間でジムのために涙を流すまでに心変わりするとは思えないので、ラブストーリーとして美化するにはさすがに無理がある。

それでいて、問い合わせへの返信が19年後、さらにその返答が届くのは50年後という“宇宙規模の時間差”のリアルさは面白い。
VFXもゴージャスで、特にオーロラが水の中に閉じ込められるシーンはどうやって撮ったのか気になる。

観ていて個人的に思ったのは、いっそのことジムが5000人の乗客と250人のクルーを全員起こしてジムがリーダーになり、究極のサバイバルドラマにしたらと思った。

それか5250人というと、一つの村の人口に匹敵する人数なので、生き残って3世代後にホームステッド2 に到着するという、壮大な人類の生き残りドラマとか。
そう言えば『ノアの方舟』ってあったしね。


日本語字幕がないので吹き替えで観たが、表示にも日本語表記がなかった。
いつも吹き替えを観る人ってこんな感じなんかな。

肝心な表示の意味が分からんので感覚で掴むしかないと思うが、どうなんやろ。
「表示情報そのもの」が伏線になってるのに。

 

 

 

 

パッセンジャー: 孤独な宇宙飛行士と女性のSFラブロマンス