対照的な二人の女性の間で、下心に揺れる演出家の心を描いたインディーズ作品。
原題は「감자적 소나타(カムジャジョク ソナタ)」。
“カムジャ”はじゃがいも、“ジョク”とは江原道の方言で、日本でいうチヂミのような料理を指す言葉。
様々な食材を小麦粉と混ぜ、平たく焼き上げる粉物料理のこと。
ちなみに「チヂミ」という呼び方自体は済州島方言で、ソウルでは一般的に「ジョン(전)」と呼ばれる。
だから「パジョン」は、直訳すると“ネギのチヂミ”という意味になる。
文化財団の依頼で、江陵の西部市場を支援する演劇制作を請け負った演出家ヒョンス(キム・ダヒョン)は、財団チーム長(キム・ホンテク)と共に訪れたヨンジ食堂で、初めてカムジャジョクを口にする。
その素朴な味に感動したヒョンスは、食堂のオーナー・ユンジュ(シン・ソユル)への取材を申し込み、了承を得る。
しかしその帰り、ヒョンスはふらりと立ち寄ったワインバーで、スイス風じゃがいも料理“ロスティ”に出会う。
さらにオーナーのユニョン(ユンジェ)とも意気投合し、気づけば“じゃがいも料理”を口実に、二人の女性の間を行ったり来たりすることになる。
冒頭にじゃがいもを黙って拝借するシーンがあり、ラストは何となく想像がつくが、これが爽やかで心地良い。
伝統的なじゃがいもチヂミとスイス式のじゃがいもチヂミ。
この対照的な2つのじゃがいも料理が物語のフックになってる。
表向きには「街を題材にした演劇制作」のための取材なんだが、実はそれはどうでもよくって、そこにヒョンスの打算的で下心のある行動が、クスクス笑えるほのぼのとした空気感を作り出してる。
低予算のインディーズ作品らしく、派手さはないが、映画というより舞台劇のような感じもする。
その素朴さが、“じゃがいも料理”そのもののようで、素朴な空気感をだしてる。
観終わったら、カムジャジョクとロスティが食べたくなった。
