違う意味でヤバい「ペヤング キムチ鍋風やきそば」 | 三匹の忠臣蔵

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ペヤングでおなじみのまるか食品から発売された『ペヤング キムチ鍋風やきそば』が発売された。
キャッチコピーは、寒い冬にからだを温めたい時にピッタリの商品です。
キムチの旨味と辛味をしっかりときかせたソースが、めん・かやくと良く絡み、鍋の〆のような満足感を最後までお楽しみいただけます。

ペヤングキムチ鍋風やきそば

本場韓国でも今まさに『キムジャン(김장)』の時期で、とてもタイムリーな発売。
ちなみに『キムジャン』とは、晩秋から初冬(11月〜12月上旬)にかけて大量のキムチを漬け込むことを指し、厳しい冬を乗り切るための韓国の重要な伝統行事です。

白菜が旬を迎え、最低気温が0℃前後になる時期が漬け頃とされ、家族や近所の人たちが集まって一年分のキムチを漬け込む一大イベントで、2013年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

ところがこの『ペヤング キムチ鍋風やきそば』が、今 SNSで笑われてる。
理由はシンプルで、韓国語表記が致命的な誤訳になってるから。

「キムチチゲ」は料理のジャンルのことで、調理器具と誤用してる。
「キムチチゲ」とするなら本来は「김치찌개」になるわけで、「김치냄비」となるとキムチでできた鍋になる。
これってよくある話で、仕事を受けたデザイナーがちょろっと翻訳使っただけの仕事に対する知的練度の話で韓国語に限った話ではなく、たまに遭遇する話だが、もし狙ってやったとしても「アホちゃう?」レベル。

このコメントからも分かるように、 「김치냄비」= キムチでできた鍋、もしくはキムチ用の鍋という意味合いになってしまう。

  • 김치찌개(キムチチゲ)= キムチのスープ/煮込み料理
  • 김치냄비(キムチナンビ)= 「キムチの鍋」(鍋そのもの)
 

ペヤングのキムチでできた鍋

 

 

つまり、「キムチチゲ」という日本語表記は正しいが、韓国語で「김치냄비」と書くのは重大な誤訳になる。
恐らく機械翻訳の丸写しによるもので、言語に限らずグローバルデザインの現場で頻発する典型的な事故でもある。

翻訳をサッと当てただけで、ネイティブチェックを一切していない適当な仕事で、この提案を受けた担当者の知的練度や、仕事の精度がそのまま露呈した。

これは「表層的な翻訳ミス」から「クライアントと消費者の信頼を損なうプロフェッショナルとしての欠落」へということがうかがえる、というか、アタマん中がそのまんまでてる。

デザイナーが「狙ってやった」可能性もゼロではないが、ネオン風ゴシックを使ってるのを見ると、考えた形跡すら感じられないお笑いレベルで、仕事ではなく作業になってる。

SNS時代、言語の壁は低いので、文脈や文化を無視した浅い翻訳は一瞬でバレる。
そう考えると、語彙の文脈や文化的な意味を理解せず、表層的な単語変換で済ませてしまった「知的練度の低い作業」 の典型例といえる。

韓国語が読み書きできる私も仕事で、韓国語サイトの制作を請け負ったことがあるが、ネイティブ話者にチェックはしてもらった。
当然、発注という形で。

韓国語に限らず、文化や文脈を無視した浅い翻訳が生む、よくある間違いの一つとは言える。
だからこそ商品表記は、その市場の消費者(今回は韓国語話者)から見ると、非常に違和感があり、商品やブランドに対する信頼性を損なうリスク管理は不可欠なはず。

ちょっとしたことなのに、ちょっとしたお金を惜しむなよ!と言いたい。