1948年の「麗水・順天事件」を背景に、冷戦下の南北分断とイデオロギー対立の悲劇を描いた作品。
「祝祭」のイム・グォンテク監督が、チョ・ジョンレの同名小説を原作に、1945年の8・15解放から1953年の休戦協定までの全羅南道宝城郡罰橋邑を舞台に、韓国近現代史を描いてる。
麗水・順天事件とは1948年10月、韓国南部の麗水と順天で、韓国軍の一部が政府の「済州島四・三事件」の鎮圧命令に反発し、左翼勢力と結びついて反乱を起こした事件。
反乱軍は一時的に麗水や順天を占拠し、共産主義的な人民委員会を設置しましたが、政府軍により短期間で鎮圧されました。
済州島四・三事件とは、1948年4月3日に済州島で始まった、南朝鮮だけの分断・単独選挙に反対して起こった島民たちの武装蜂起と、それ対する米軍政及び韓国の軍警の無差別虐殺の鎮圧過程で、3万人近くの島民が犠牲になった事件。
両事件とも背景には、米軍政下での経済的困窮や南北分断への不満、左翼と右翼の対立があった。
光州事件の映画でもアメリカ国旗は燃やされていたからね。
実際、他にも起きた住民虐殺(老斤里事件)に米軍も関与しているし。
1948年から1950年までの最も混乱した時期に、左翼と右翼の勢力に交互に支配される田舎町の住民の悲劇と、パルチザン活動がリアルに描かれているが、物語は淡々と進む。
意に沿わない者は「アカ」とレッテルを貼られ、その家族や左翼への協力者が過酷な取り調べや報復に遭う。
左右の対立を兄弟の対立に置き換え、青年団監察班長ヨム・サンギュ(キム・ガプス)は、兄ヨム・サンジン(キム・ミョンゴン)への憎悪から、この弾圧を率先して行う。
そうして耐えた左翼勢力も、最終的には北朝鮮からの信頼を得られず、壊滅する。