「アジョシ」のヒットで気を良くしたイ・ジョンボム監督が、二匹目のドジョウを狙いにいったフューマン・アクションというよりノワール寄りの作風にも感じる作品。
サックスのイントロを「脱穀機オイルがない」と思ってしまうはじまりと、チャン・ドンゴンとキム・ミニの顔芸で終わるラストが切ない。
殺し屋ジン・ゴン(チャン・ドンゴン)が任務でミスを犯し、ユミ(カン・ジウ)が命を落とす。
次のターゲットが、我が子ユミの死で人生が狂ったチェ・モギョン(キム・ミニ)となる。
早々にモギョンがユミの母親だと知ったゴンは組織を裏切り、彼女を守り戦う。
ユミの死をきっかけに、幼い頃に母親を亡くした息子と、突然娘を失った母親という、「母性」を軸にした人間関係の描写が丁寧で、銃撃戦などのアクションシーンも完成度も高く映画としてのバランスもいい。
自分の生い立ちから思い描いていた母親像と、目の前のモギョンとの違いに戸惑いながらも、母性に飢えたゴンの心情が痛々しい。
背中を流してもらいながら涙を流すゴンの姿が、彼の人生の切なさを物語っている。
最後のエレベーターでの顔の角度はチャン・ドンゴンお得意の角度。パク・ジヨンも台詞なしで出ていて、俳優さんの出世も確認できます。